世界各国の鉄鋼メーカーは、様々なタイプのグリーン鉄商品を販売しており、独自ブランドを設定している。
各社が自社製品をグリーンとする手法には、「①製造プロセスの改善等による排出削減量を製品に割り当てる方式」「②水素還元製鉄等の製造プロセスの排出量を表示する方式」「③電炉で使用する電力に係る排出量を電力証書等により下げる方式」の3つがある。
各社により手法や定義は様々であるが、グリーン鉄は、鉄そのものの機能や品質は従来製品と同じであり、脱炭素・低炭素という環境価値が加わった製品である。
国際的なイニシアティブであるGHGプロトコルに基づき、自社の温室効果ガス排出量を報告する事業者であれば、自社製品の原料としてグリーン鉄を購入する場合、Scope3(上流)排出量を削減できると考えられる。同様に、製品ライフサイクルのCO2排出量を算定表示するカーボンフットプリント(CFP)においても、グリーン鉄の低(もしくは0)排出量を反映可能と考えられる。
①の方式の一つとして、日本鉄鋼連盟では、追加コスト負担等の「追加性」があるCO2削減量を製鉄会社内でプール・管理した上で、製鉄会社の販売方法に合わせてCO2削減量を任意に割り当てる(削減実績量の)「マスバランス方式」を提案している。ただし、これはCO2削減量のアロケーションであり、一般的なマスバランス方式とは言葉の使い方が異なることに留意が必要である。
日本鉄鋼連盟では、鉄鋼マスバランス方式を用いたグリーン鉄の国際標準化を進めており、間もなく世界鉄鋼協会において、ガイドライン第1版が制定される見込みである。
③の方式の場合、現時点、国内では「トラッキング情報付き非化石証書」を用いると想定される。現在、FIT非化石証書価格は0.4円/kWhであり、これを電力のCO2排出係数全国平均(2022年度)の0.438kg/kWhで換算すると、913円/トン-CO2となる。
日本鉄鋼連盟は国に対して、「鉄鋼GX製品市場創出ロードマップ」の作成によるグリーン鉄市場の創造に向けた以下のような取り組みを求めている。
その上で、GX製品全般に関する「削減実績量」手引きの早期公表や、鉄鋼マスバランス方式を鉄鋼製品CFPに活用できるルールの具体化に向けた検討を求めている。
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