再エネ出力制御の最新見通しが公表 蓄電池の早期系統接続に関する暫定措置も第53回「系統WG」(1/5 ページ)

再エネ電源に対する出力制御の見通しについて、最新のデータが公表された。また、昨今増加している系統への蓄電池の接続について、その早期接続に向けた対策の方向性も明らかになった。

» 2024年12月11日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

 再エネ電源の導入増加により、需給バランス制約により再エネ出力制御を実施するエリアは全国(東京エリアを除く)に拡大し、複数エリアでの同時出力制御による域外送電量の減少や電力需要の減少等もあり、出力制御量は増加傾向が続いている。

図1.エリア別 再エネ出力制御量(2021〜2024年度) 出典:系統WG

 再エネ電源の出力制御率は、長期的な再エネ電源の導入見通しやデマンドレスポンス等の需要側での対策の有無、地域間連系線等の系統対策により変動するため、再エネ事業者自身による確度の高い試算が困難である。このため、資源エネルギー庁では事業者の予見性を高める観点から、一般送配電事業者による再エネ出力制御の長期見通し試算結果を毎年公表している。

 系統WGの第53回会合では、再エネ出力制御の新たな長期見通しが公表されたほか、系統用蓄電池の迅速な系統連系に向けた暫定措置(早期連系追加対策)が報告された。

再エネ出力制御長期見通し算定の前提条件

 エネ庁事務局では「再エネ」と一言で表しているが、系統WGにおいて将来的な出力制御の見通しが試算される対象電源は太陽光と風力であり、水力・地熱・バイオマスは本試算の前提条件として与えられている。また太陽光と風力についても、出力制御に上限のない無制限無補償ルールに該当する事業者の出力制御率見通しであることにも留意願いたい。

 再エネ出力制御長期見通し算定の前提条件となる太陽光・風力の導入量(設備容量)は、最新の2024年度供給計画における10年後(2033年度)の導入量をベースとして(ケース①)、この上振れケースとして1.3倍の導入量(ケース②)についても試算を行っている。

表1.再エネ導入量(設備容量) 出典:系統WG

 また電力需要については、2024年度供給計画2033年度の見通しに加え、直近の系統接続の申込み状況等を踏まえて補正を行った。また、ベース供給力となる原子力・地熱・水力については、震災前過去30年間の稼働率平均に設備容量を乗じて算定し、火力・バイオマスは安定供給が維持可能な最低出力と想定する。揚水式水力・需給調整用蓄電池については、再エネの余剰電力吸収のため最大限活用と想定する。

表2.需要及び他電源の出力想定 出典:系統WG

これら一定の前提条件を元に、再エネ出力制御長期見通しを試算すると同時に、需要対策、供給対策、系統対策を実施することにより、再エネ出力制御率がどのように変化するかを算定した。

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