FIP太陽光のバランシングコストを1円増額 2025年度のFIT/FIP制度の運用方針第101回「調達価格等算定委員会」(5/5 ページ)

» 2025年01月22日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]
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事業用太陽光発電の災害時活用要件

 FIT制度では、「1.需要地に近接して柔軟に設置できる」「2.災害時のレジリエンス強化やエネルギーの地産地消に資する」といった再エネ電源の特性を生かしつつ、地域の信頼を獲得しながら導入拡大を図っていくため、事業用太陽光発電(10-50kW)に対して以下の地域活用要件を設定している。

  1. 再エネ発電設備の設置場所で少なくとも30%の自家消費等を実施すること。ただし、農地一時転用許可期間が3年間を超える営農型太陽光発電は、自家消費等を行わないものであっても、災害時活用を条件にFIT制度の対象
  2. 災害時に自立運転を行い、給電用コンセントを一般の用に供すること

 上記1の「30%自家消費」要件を満たす太陽光発電の大半は「屋根設置」であると考えられ、その設置者は当該建築物に居住又は勤務等していることが想定される。万一の災害発災時にこのような太陽光発電を地域で活用するためには、設置者と市町村は平時から連携しておくことが重要である。

 このため、各市町村がその地域の実情に応じて、防災の方針等(防災計画、防災協定、各戸に配布している防災マップ等)に、地域活用要件を具備した太陽光発電を位置付けやすくなるよう、国は以下のような環境整備を行うこととした。

  • 1.地域活用要件を具備した太陽光発電事業の概要等について、国から市町村に対して、プッシュ型で情報提供を行う
  • 2.市町村から事業者に対し、災害時活用に関する協力の依頼があった場合には、それに応じるよう努めることをFIT制度の事業計画策定ガイドラインに明記する
    • 自治体と事業者間での防災協定等の締結(開錠方法や利用者の誘導方法等)
    • 記事発災を想定した訓練・ミーティング等の実施
  • 3.FIT/FIP制度に関する情報提供を目的に毎年度開催している「情報連絡会」において、国から自治体に対して、再エネ電源の災害時活用の先進事例や防災協定の雛形等の情報提供を行い、好事例の横展開を促進する

 このように太陽光発電が災害時に活用されること、また災害時に活用可能であることがあらかじめ地域住民にしっかり周知されることにより、地域社会との共生が図られ、太陽光発電のスムーズな導入拡大に資することが期待される。

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