FIP太陽光のバランシングコストを1円増額 2025年度のFIT/FIP制度の運用方針第101回「調達価格等算定委員会」(1/5 ページ)

第101回「調達価格等算定委員会」で今後のFIT/FIP制度の運用に関して検討が行われた。FIP制度を利用する太陽光発電については、バランシングコストを1.00円/kWhの増額とする方針だ。この他、FIP制度のみを対象とする事業規模の基準などについても今後の見通しが公表された。

» 2025年01月22日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

 2040年エネルギーミックス案において、太陽光発電は電源構成の23〜29%程度を担うことが想定されており、さらなる導入ペースの加速が求められている。

 2022年4月にFIP制度が導入され、その認定量は新規認定・移行認定の合計で約3,127MW・1,675件に上る(2024年12月末時点)。これはFIT/FIP制度全体の認定量の約3%に過ぎないため、FIT電源のさらなるFIP移行促進策について検討が進められている。

表1.FIP制度の活用状況(2024年12月末時点) 出典:調達価格等算定委員会

 国は2024年11月に取りまとめた「再エネ主力電源化アクションプラン」(案)において、FIP制度のさらなる活用に向けて、優先給電ルールにおける出力制御の順番をFIT電源→FIP電源の順とする措置を講じることとしたほか、FIP移行案件の事後的な蓄電池設置時の価格算定ルール変更や非化石証書の直接取引の拡大などを措置してきた。

 資源エネルギー庁「調達価格等算定委員会」の第101回会合では、FIP電源に支払われるバランシングコストの増額や、FIP制度のみが認められる対象の拡大等について検討が行われた。

FIP電源における「バランシングコスト」の増額

 FIP電源は原則自社で発電量予測を行い、発電計画を策定・提出することが必要である。FIP制度は、再エネ電源の段階的な市場統合を目指すものであり、FIP事業者は電力の需給バランスを示す市場価格を考慮しながら一定の供給シフトを行うことが、制度上、期待されている。

 ただし、このような業務を円滑に行うためには、一定のノウハウ習得やシステム導入等が必要となるため、自然変動電源(太陽光・風力)のFIPプレミアム金額には制度開始当初から「バランシングコスト」が上乗せされている。なお、FIP制度の更なる活用を促進するため、2024年度から、バランシングコストの時限的な引上げも行われている。

 今回、調達価格等算定委員会では、FITからFIPへの移行をさらに促すため、自然変動電源(太陽光・風力)について、2025年度以降のバランシングコストを大きく増額することとした。ただし、国民負担の抑制という観点から、その「原資」をどのように確保するかが重要な論点となる。

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