海外では、脱炭素の推進及び自国の産業競争力を強化するための政策として、CFPに着目した政策が推進されている。
EUの炭素国境調整メカニズム(CBAM)では、EU域外から対象品を輸入する事業者は、製品の排出量(CFP)に応じたCBAM証明書を購入する必要がある。通常、EU域内で生産された製品のCFPは小さく、輸入事業者の多くは申請に必要な排出量データが収集できず、不利な「デフォルト値」を用いて算定するため、相対的にEU域内製品が有利となっている。
また、EUのエコデザイン規則では主要な製品を対象に、CFP等の情報開示や持続可能性に関する要件を定めており、ローカルな表示ルールへの対応コストは域外企業のほうが高いため、実質的な参入障壁ともなっている。
米国の政府調達「Buy Clean」では、建材に対してCFPに類するEPD(Environmental Product Declaration)取得を義務化しており、調達条件にはCFPの閾値を適用している。米国はCFPが小さい電炉鋼比率が現在でも69%と高く、2050年には90%に達すると想定されており、国内生産の鉄鋼の調達量が増えることが予想されている。
日本では、CFPを活用した施策は、現時点「グリーン購入法」に基づく政府調達のみである。グリーン購入法では、国や独立行政法人等の公的機関が率先して低排出品の調達をおこなうことを求めており、一定の基準を満たす製品は、調達時に加点評価される。
現時点、CFPの開示が基準値として採用されているのは、表2の「コピー機」「タイルカーペット」「削減実績量が付された鉄鋼を使用した製品」の3品目に限られている。
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