「マスバランス方式」とは、特性(環境価値)の異なる原料を混合して製品を生産する場合に、製品の一部にその特性(環境価値)を割り当てる手法であり、現在、バイオマス原料などで使用されている。
マスバランス方式は、脱炭素移行期間においても実現可能性が高く、CFPの低い製品が経済的に供給可能というメリットがあるが、マスバランス方式の適用可否及びその対象や条件は、国や制度により状況が異なる。
日本鉄鋼連盟では、マスバランス方式を適用した「グリーンスチール」に関するガイドラインを作成し、すでに一部事業者では製品供給を開始している。同ガイドラインは、世界鉄鋼協会ガイドラインにも反映されるなど、世界的なルール作成をリードする点でも注目すべき事例である。
日本の非化石証書やグリーン電力証書・グリーン熱証書などのように、世界各国では、電力やガス、熱に関するさまざまな環境価値証書が存在している。
ISO14067では、トレーサビリティのある再エネ電力証書の利用を認めている(熱・ガス証書は言及なし)ほか、GHG ProtocolによるScope2ガイダンスでは、電力証書や熱証書の利用を認めているが(ガス証書は言及なし)、EUの制度等では証書は利用不可とされている。
証書の利用については、トラッキングすべき属性情報や、物理的接続の有無、時間的同時性の粒度などが今後の論点となる。
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