カーボンフットプリントの活用で日本製品の競争力強化 経産省が戦略策定へ第1回「GX実現に向けたCFP活用に関する研究会」(4/5 ページ)

» 2025年03月06日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

「マスバランス方式」の適用状況

 「マスバランス方式」とは、特性(環境価値)の異なる原料を混合して製品を生産する場合に、製品の一部にその特性(環境価値)を割り当てる手法であり、現在、バイオマス原料などで使用されている。

図4.マスバランス方式の適用イメージ 出典:GX実現に向けたCFP活用に関する研究会

 マスバランス方式は、脱炭素移行期間においても実現可能性が高く、CFPの低い製品が経済的に供給可能というメリットがあるが、マスバランス方式の適用可否及びその対象や条件は、国や制度により状況が異なる。

 日本鉄鋼連盟では、マスバランス方式を適用した「グリーンスチール」に関するガイドラインを作成し、すでに一部事業者では製品供給を開始している。同ガイドラインは、世界鉄鋼協会ガイドラインにも反映されるなど、世界的なルール作成をリードする点でも注目すべき事例である。

図5.マスバランス方式の適用状況 出典:GX実現に向けたCFP活用に関する研究会

環境価値証書の適用状況

 日本の非化石証書やグリーン電力証書・グリーン熱証書などのように、世界各国では、電力やガス、熱に関するさまざまな環境価値証書が存在している。

 ISO14067では、トレーサビリティのある再エネ電力証書の利用を認めている(熱・ガス証書は言及なし)ほか、GHG ProtocolによるScope2ガイダンスでは、電力証書や熱証書の利用を認めているが(ガス証書は言及なし)、EUの制度等では証書は利用不可とされている。

 証書の利用については、トラッキングすべき属性情報や、物理的接続の有無、時間的同時性の粒度などが今後の論点となる。

図6.環境価値証書の適用状況 出典:GX実現に向けたCFP活用に関する研究会

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