東芝ESS、中部電力、愛知県岡崎市が岩石蓄熱技術を利用したエネマネシステムの導入に向けた協定を締結。実現すれば岩石蓄熱技術によるシステムとしては国内最大級の規模になるという。
東芝エネルギーシステムズ(東芝ESS)、中部電力および愛知県岡崎市は2025年3月12日、岩石蓄熱技術を用いたエネルギーマネジメントシステムの導入に向けた協定を締結したと発表した。2026年度末まで、岡崎市内の電力および熱需要の実績データを基に、システムの最適な熱容量や設置場所の検討を含め、設備導入に向けた調査および検証を進める。
昨今、出力変動を伴う再生可能エネルギーの導入拡大などを背景に、電力系統の安定化などに寄与する蓄電システムの導入が加速している。そのエネルギーの貯蔵方法の一つとして、余剰電力を岩石・溶融塩・コンクリートといった蓄熱材に熱エネルギーとして蓄え、必要な時に熱供給や発電することでエネルギーの安定供給や効率的利用を実現する蓄熱エネルギー技術が注目されている。
東芝ESSと中部電力は、こうした蓄熱エネルギー技術の一つである岩石蓄熱技術に着目し、共同で研究を進めてきた。これは岩石に熱としてエネルギーを貯蔵する仕組みで、環境性・経済性・設備信頼性の観点から高い優位性が期待できるという。
今回このシステムの導入を検討する岡崎市は、環境省の「脱炭素先行地域事業」において、2029年度までに岩石蓄熱エネルギーマネジメント設備を導入し、熱や電気を市内の住居や公共施設、企業向けに供給することを検討しています。また地域の新電力会社と連携し、岩石蓄熱エネルギーマネジメント設備を活用した電力の需給調整なども計画している。
東芝ESSと中部電力は、実現可能性調査の結果を踏まえ、2027年度から順次、機器の製作を開始する計画。構築するシステムの熱容量は、数十メガワット時級となる見込みで、岩石蓄熱技術を利用した設備の導入計画としては国内最大級になるとしている。
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