ペロブスカイト太陽電池の耐久性を向上 電極素材にカーボンナノチューブ太陽光

名古屋大学とデンソーが、電極にカーボンナノチューブを用いたペロブスカイト太陽電池を作製。同電池の課題である耐久性の問題を解決できるという。

» 2025年03月19日 07時00分 公開
[スマートジャパン]

 名古屋大学は2025年3月11日、デンソーと協力し、単層カーボンナノチューブ薄膜透明電極(CNT電極)を用いた100cm2サイズのペロブスカイト太陽電池モジュールの作製に成功したと発表した。ペロブスカイト太陽電池の長寿命化などに貢献する成果だという。

 ペロブスカイト太陽電池の裏面電極には、一般に金、銀、銅といった金属の蒸着薄膜が仕様されている。しかし、銀や銅はペロブスカイト太陽電池に利用されるヨウ素によって酸化し、金は高価でありコスト増につながるといった課題がある。また、製造プロセスにおいても大型の真空装置を必要とするため、大面積化や量産化における制約になる可能性がある。

 こうした課題の解決に向けて、研究グループは電極材料としてカーボンナノチューブ(CNT)に注目。CNは優れた電気伝導性、強度、熱伝導性を持つ素材で、これを利用した電極は科学的に安定であり、酸化や腐食に対しても高い耐久性を持つ。そのため、ペロブスカイト太陽電池の実用化課題である耐久性の向上に役立つという。

 今回、研究グループはこのCNTを用いた電極を用い、透光性があり、両面受光が可能な10cm各のモジュールを作製した。CNT電極のメリットはその耐久性だけでなく、電極部分が目立たないため、意匠性の面でも優れる点が挙げられるという。

写真左が一般的な金電極を利用したペロブスカイト太陽電池。右が今回開発したカーボンナノチューブ電極を採用したモジュール 出典:名古屋大学

 この特性により、発電効率は金電極を用いた従来型ペロブスカイト太陽電池に若干劣るが、光を入射させる面を反転させても同等の発電効率を達成。金電極は拡散によってペロブスカイトの分解を促進する懸念があるが、CNT電極は高い安定性によりペロブスカイト太陽電池の耐久性の問題に対処できる可能性があるという。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.