太陽光パネルのリサイクル義務化 費用負担と制度設計の方向性がまとまる第9回「太陽光発電設備リサイクル制度小委員会」(2/4 ページ)

» 2025年03月26日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

リサイクル(再資源化)義務化の対象

 太陽光発電設備を構成する部材のうち、新たな制度においてリサイクル(再資源化)義務化の対象とするものは太陽光パネルに限られる。これは、PCSや架台については有価物として取引が行われており、コンクリート製基礎等は建設リサイクル法により、建設資材として既にリサイクルが行われているためである。

図3.太陽光パネルのリサイクルフロー 出典:太陽光リサイクル制度小委

 太陽光パネル重量の約6割を占めるガラスは、現時点その多くが路盤材やグラスウール等へとリサイクルされているが(図3)。これら製品へのリサイクルは1回のみ可能(ワンウェイ)であるほか、将来的な太陽光パネル排出量と比べて再生ガラスの利用量が少ないという課題がある。なお、プラスチック(EVA)は現時点、経済的なマテリアルリサイクルが困難であるため、当面はサーマルリサイクル(熱回収)も許容している。

太陽光パネルのリサイクルに係る費用負担者

 循環型社会形成推進基本法では、生産者は自ら生産する製品について、生産・使用段階だけでなく廃棄後も、当該製品の適正な再資源化や処分について一定の責任を負う「拡大生産者責任」の考え方が規定されている。なおOECDガイダンスマニュアルでは、拡大生産者責任には物理的な責任だけでなく、金銭的な責任が含まれるとしている。

 太陽光パネルは海外製造業者のシェアが非常に高く、製品の使用期間(製品寿命)が長いといった特徴がある。よって、パネル廃棄時には製造業者等(輸入販売業者を含む)が存在しないことも想定されるため、製造業者等に使用済太陽光パネルの引き取りや再資源化の実施を義務付けることは困難であり、仮に義務付けたとしても、その実効性は疑わしいものとなる。

 よって太陽光パネルのリサイクルについては、製造業者等(輸入業者を含む)にその費用負担を求めることにより、拡大生産者責任を果たすこととした。現実的には、輸入業者がリサイクル費用を負担するケースが大半であると考えられる。一般的に、製造業者にリサイクル費用の負担を求めることは、易解体性や有害物質使用量の低減等、リサイクル費用の低減に資する環境配慮設計を行う経済的インセンティブを与えることとなるが、太陽光パネルでは、この効果は間接的なものに留まると考えられる。

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