ガス分野の脱炭素化に向けて、第7次エネルギー基本計画においても次世代燃料の一つとして普及拡大を目指すことが記されている「グリーンLPガス」。その普及策などを検討する「グリーンLPガス推進官民検討会」の第8回会合では、今後の具体的な取り組みの内容が検討された。
LPガス(液化石油ガス)は、簡単な圧縮装置を使って常温で液化できる気体燃料であるため、可搬性や貯蔵性に優れており、全国約2,300万の家庭のほか、工業用や自動車燃料など幅広い用途において使用されている。現在の国内需要は年間約1,200万トンに上り、日本の一次エネルギー供給の約3%を担っている。
現在のLPガス(化石燃料)は、油田や天然ガス田の随伴ガスや、石油精製設備等の副生ガスとして生産されており、その主成分はプロパン(C3H8)やブタン(C4H10)であるため、カーボンニュートラルに向けてLPガスの脱炭素化が求められている。
このため国の「グリーン成長戦略」(2021年6月)では、2050年時点において現状比約6割の需要維持を想定しつつ、2030年までにグリーンLPガスの製造技術を確立、商用化を実現し、2050年には需要の全量をグリーンLPガスに代替することを目指すとしている。また第7次エネルギー基本計画では、次世代燃料の一つとしてグリーンLPガスの推進が記されている。
「グリーンLPガス」とは、バイオLPガスや合成LPガスなどの、化石燃料によらないLPガスの総称である。現時点では、バイオディーゼルとともに副生されるバイオLPガスが主流であるが、バイオディーゼルとバイオLPガスの生産比率は10:1であるため、その大量生産が課題とされている。
このため、第7次エネルギー基本計画では、「グリーンLPガスの大量生産に向けて、革新的触媒等の技術開発や生産プロセス実証を進め、2030年代の社会実装を目指す。その際、官民検討会等の場を活用しながら、内外のプレイヤーの連携の下、海外市場も視野に入れた生産・流通網を含むビジネスモデルの構築など、必要な取り組みを進める。また、LPガスのカーボンニュートラル対応を推進すべく、カーボンクレジットの利用拡大や、rDME(バイオ由来のジメチルエーテル)を混入した低炭素LPガスの導入に向けた取り組み等を後押しする」と記している。
現在国は、グリーンイノベーション(GI)基金や環境省補助事業等により、バイオマスを原料とした製造技術を先行的に進めながら、将来的な大量生産を可能とするCO2リサイクル技術や、連産品としてのLPガスを製造するFT合成技術など、多様なグリーンLPガスの技術開発を支援している。
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