DME(ジメチルエーテル)とは、LPガスと物性が似た可燃性ガスであり、様々な原料から製造でき、LPガスの代替以外でも幅広い用途で利用可能なガスである。液体燃料(化石燃料)の多様化と安定供給を確保するため、2000年代初期から様々な調査研究が行われてきた。ただし、DMEはゴム材を膨潤させるなどの特性があるため、既存機器での使用には混合率を低くする必要がある。
LPガスの脱炭素化が求められる現在、バイオ由来のDMEである「rDME」(Renewable DME)が再び脚光を浴びており、第7次エネルギー基本計画でも、「rDMEを混入した低炭素LPガスの導入に向けた取り組み等を後押しする」ことが記されている。
海外では、世界リキッドガス協会(WLGA)が主導する形でrDMEの混合率を12%(上限値)とする新たなLPガスの品質基準や規格作りが進められており、日本でもJIS改正を始めとする同様の対応を早期に図る必要がある。
このため官民検討会は、新たに「rDME混合LPガスの実用化検討WG」を設置し、燃料電池等の燃焼機器等での実証試験を行い、JISや液化石油ガス法の改正を進めることとした。なお官民検討会では、2030年のrDME混合LPガスの本格導入を目指している。
2024年5月に成立した「水素社会推進法」では、水素やアンモニア、合成燃料といった「低炭素水素等」に対して支援措置を講じることとしているが、現時点、グリーンLPガスはこの対象となっていない。これは、低炭素水素等の要件の一つに、「その製造に伴って排出されるCO2の量(ライフサイクル評価)が一定の値以下」であることが求められるが、グリーンLPガスでは「炭素集約度」(carbon intensity:CI)の基準値がまだ設定されていないためである。
このため官民検討会では、2026年10月頃を目途に、グリーンLPガス(rDMEを含む)の炭素集約度の算定標準案を策定し、その後、標準案に基づいた算定実証を実施する予定としている。
グリーンLPガスやrDMEは、早ければ2027年度からサンプル出荷が始まると予想されており、ここでの炭素集約度の算定適用が期待されている。
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