AI普及に伴うデータセンターの急増に対応 系統運用容量の増加策第3回「ワット・ビット連携官民懇談会WG」(2/4 ページ)

» 2025年06月06日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

中期的な対策――負荷追従による「空き容量」の活用

 電力系統では設備の損壊等を防ぐため、熱容量等の制約に基づく一定の運用容量を系統ごとに設定している。電力系統では、需要(負荷)方向の順調流と発電方向の逆潮流は相殺されるため、時々刻々と変化する需要や発電出力次第で、実際の潮流方向や利用可能な容量は変化することとなる。

 図4左の晴天昼間の場合、図4右の雨天と比べ、負荷方向に流せる電力は大きいが、現在の仕組みでは、これらの変動を考慮せず、常に確保可能な部分(容量①)のみを「空き容量」と見なしている。

図4.天候等による「空き容量②」の変化 出典:東電PG

 もしDC施設の負荷を潮流状況に追従して柔軟に上下させるならば、「空き容量②」を有効に活用できる可能性がある。そこで東電PGでは、「空き容量②」の有効活用に向け、DCが負荷追従することを条件とした「暫定運用」と「本格運用」の2つを提案している。

 「暫定運用」では、東電PGが負荷追従パターン(固定値)をあらかじめ設定し、DCは蓄電池を用いて、このパターンに追従することを義務付ける。負荷追従パターンは事前に設定する必要があるため、活用可能な「空き容量②」は悪天候を前提とした最小値とせざるを得ず、拡大ポテンシャルは限定的である。

 他方、「本格運用」では、東電PGとDCのシステムを接続し、空き容量の状況をDC側で随時オンラインで把握できる仕組みを設け、「空き容量②」を最大限活用する。この対策の場合、東電PGとDCの双方でシステム開発が必要となるため、費用面・リードタイム面のいずれも大きなものになると想定される。

 いずれの対策であっても、負荷パターンからの逸脱は系統設備の損壊につながるおそれがあるため、ペナルティ等による一定の規律が必要となる。

図5.「空き容量②」の活用イメージ 出典:東電PG

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