変動性再エネ電源の需給調整市場への参加要件を検討 期待収入の試算も公開第56回「需給調整市場検討小委員会」(1/4 ページ)

太陽光や風力などの変動性再エネ電源(VRE)について、将来的に電力需給の調整力として活用することが期待されている。需給調整市場検討小委員会の第56回会合では、VREの需給調整市場への参加方法や、市場取引による収入試算などが検討された。

» 2025年06月12日 07時00分 公開
[スマートジャパン]

 太陽光発電や風力など、将来的な変動性再エネ電源(VRE)の大量導入に伴い、調整力(ΔkW)の必要量が増加すると想定されている。これまで調整力は主に火力電源や揚水発電等が供給してきたが、今後はDRや蓄電池、さらにはVRE自体も調整力として活用することが期待されている。

 VREには、FIT電源・FIP電源・非FIT/FIP電源があるが、このうちFIP電源と非FIT/FIP電源(以下、FIP電源等)は、需給調整市場のリクワイアメントを満たすことが出来れば、現時点においても需給調整市場への参入は可能である。VREはインバータ制御であるため、従来電源と比べ、速やかな応動や精緻な出力調整が可能である。

 ただし、実需給断面の天候により出力上限が変動するVREは、調整力として供出できる量も時々刻々と変動するため、あらかじめ出力を抑制して上げ調整に対応できる状態にしておくなどの工夫も必要となる。

図1.発電計画値を下げることによる上げ調整への対応 出典:需給調整市場検討小委員会

 電力広域的運営推進機関の需給調整市場検討小委員会では、変動性再エネ(FIP電源等)による需給調整市場への参加方法や、市場取引による収入の優位性について検討が行われた。

VREによる需給調整市場への参加方法

 需給調整市場は、可能な限り技術中立的に市場参加要件(商品要件)を設定しているが、市場運営効率性等の観点から、最低入札量は1,000kWと設定している。このため、1,000kW以上の変動性再エネ(VRE:FIP電源等に限る)であれば単体で市場参加し、小規模なVREであれば、アグリゲーションにより規模要件を満たす必要がある。

図2.VREによる需給調整市場への参加方法 出典:需給調整市場検討小委員会

 アグリゲートして入札する場合、調整力提供者はリソースの特定とその組合せ情報である「リスト・パターン」を一般送配電事業者へ提出し、「リスト・パターン」単位で事前審査やアセスメントをまとめて実施可能としている。

 またVREは、VREだけのアグリゲーションのほか、蓄電池や負荷設備(DR)と組み合わせたアグリゲーションも可能としている。

図3.リソース種別 需給調整市場への参加方法 出典:需給調整市場検討小委員会

 リソースが調整力を提供する手段には、発電リソースによる逆潮流、蓄電池や負荷設備等のリソースによる需要抑制、それら両方の組み合せの3タイプがあるが(表1)、リソースの種別により、提出が必要となる計画値やΔkW供出可能量の考え方が異なる。また、ネガポジ型リソースや需要リソース(ネガワット型)では、アセスメント実施やインバランス精算、調整力精算のため、「基準値」の提出が必要となる。

表1.リソース種別 必要となる計画値、ΔkW供出可能量 出典:需給調整市場検討小委員会
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