日本でも2026年度からの本格導入が計画されている排出量取引制度。政府は新たに「排出量取引制度小委員会」を設置し、排出量の算定・確認・排出枠割当等における基準など、制度設計の詳細検討を開始した。
国は2050年カーボンニュートラルと経済成長の両立(GX)を実現するための施策として、成長志向型カーボンプライシング構想の具体化を進めている。2023年度からGXリーグは自主的な取り組みとして、排出量取引制度(GX-ETS)の第1フェーズを開始しており、日本の温室効果ガス(GHG)排出量の5割超をカバーする700社以上の企業が参加している。
また2025年4月には改正GX推進法が成立し、CO2の直接排出量が10万トン以上の事業者は、2026年度から排出量取引制度(GX-ETS第2フェーズ)への参加が義務付けられることとなった。
このため経済産業省は、新たに「排出量取引制度小委員会」を設置し、2026年度の制度開始に当たって必要となる排出量の算定・確認・排出枠割当等に係る基準等について検討を開始した。
GX-ETS第2フェーズでは、CO2の直接排出量(Scope1)が前年度までの3カ年度平均で10万トン以上の事業者を対象としており、制度の対象事業者数は300〜400社程度、カバー率は日本のGHG排出量の60%近くになると見込まれている。
GX-ETSは多くの部分で省エネ法の仕組みを参照しており、省エネ法では子会社等かつ制度対象者であって、エネルギー管理の一体性が確保されている場合、その親会社等は当該子会社等も含めてエネルギー使用量の報告等を行うことを可能としている。
このため、GX-ETS第1フェーズ参画企業の約4割が子会社等を含めたグループ単位で削減目標の設定や排出量の算定を実施していることを踏まえ、改正GX推進法(第2フェーズ)では、制度対象事業者が子会社等(制度対象者に限る)と一体的に義務履行することを認めている。
制度対象者(直接排出量が10万トン以上)である子会社、関連会社、兄弟会社が、親会社等と一体的にGX投資を行う場合、「密接関係者」と定義され、代表事業者は一括して、排出枠の割当てを受けるための届出や排出実績量の算定・報告、義務履行を行うことが可能となる。
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