一般的に確認業務における保証水準は、「限定的保証」と「合理的保証」に区分され、前者は後者と比べ、実施する手続の種類・時期・範囲が限定され、保証水準(信頼性の度合い)は相対的に低いものとなる。
排出実績量は制度対象事業者の排出枠保有義務量の基礎となる情報であるため、本来は合理的保証水準で確認業務を実施することが望ましく、EU-ETSや韓国のK-ETSにおいても合理的保証を求めている。
ただし、排出量取引制度の本格稼働が目前に迫った日本では、直ちに合理的保証水準を求めることは、確認業務の難易度・必要な工数が大きく増加することが課題となる。
このため、制度開始当初3年間(2026〜2028年度)は事業者全体の排出実績量に対する限定的保証のみを求めることとした上で、2029年度以降、大規模事業所を対象に、段階的に合理的保証を求めることとする。
また、確認業務には、「確認業務の品質管理に関する知識」と「排出量の算定に関する技術的知見」の両方が必要である。このため、確認業務の品質向上と効率化に向けて、業界一丸となって専門知識を有する人材を育成する枠組みを検討する予定としている。
排出量取引制度小委員会では、次回以降、具体的な排出枠の割当方法等について検討を行い、年末頃を目途に取りまとめを行う予定としている。
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