本格的な導入に向けて制度設計が進んでいる同時市場。「同時市場の在り方等に関する検討会」の第16回会合では、時間前同時市場の開催回数、開催タイミング等について検討が行われた。
現在、国(資源エネルギー庁・電力広域的運営推進機関)は、電力の安定供給と経済性の両立を求め、kWhとΔkWを同時約定し最適化する「同時市場」の導入に向けた検討を進めている。同時市場では、主に火力発電の特性を念頭に、起動費や最低出力費用、限界費用といったThree-Part情報に基づき、系統制約を考慮した上で、電源の起動停止(SCUC)や出力量(SCED)の決定が行われる。
これまで「同時市場の在り方等に関する検討会」では、実需給の前日に開催する「前日市場(前日同時市場)」を中心に検討を進めてきたが、時間前市場においても、kWhとΔkWの同時約定を行う仕組みを導入する方針としている。
同検討会の第16回会合では、時間前同時市場の開催回数、開催タイミング等について検討が行われた。
現在の卸電力市場では、実需給前日のスポット市場において、その時点の想定需要に基づいて実需給に必要な供給力(発電機の起動量)のベースが決定される。時間前市場は、バランシンググループ(発電・小売)が需給を極力一致させるために最終的なkWh調整を行う場として位置づけられている。
日本卸電力取引所(JEPX)の当日市場(時間前市場)では、30分単位の商品毎のザラ場取引が行われ、毎日17:00に翌日0:00〜24:00の48商品の取引を開始し、各商品の受渡時間の1時間前(5:30〜6:00の商品の場合、4:30)まで取引を可能としている。
2024年度の時間前市場の約定量は約74億kWhであり、増加傾向にあるが、スポット市場約定量2,657億kWhの約2.8%に留まっている。
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