時間前UC市場の開催回数・開催時刻については、事業者の取引ニーズや技術的な実現可能性を踏まえて決定する必要がある。
小売電気事業者の需要計画や変動性再エネ事業者の発電計画を柔軟に修正するためには、開催回数はできるだけ多く、かつゲートクローズ直前まで開催されていることが望ましいと言える。他方、あまりに多く開催することは事業者の負担を増すこととなり、電源の追加の起動・停止も行う時間前UC市場では、発電事業者の計画修正や人員配置等の負担を考慮する必要がある。また通常、SCUC・SCEDの計算処理にはかなりの時間を要するため、実務的に計算処理可能な開催回数(間隔)とする必要がある。
これらを考慮すると、時間前UC市場の開催回数については先述の図3のように、前日の17時(翌日の全48コマが取引対象)、当日9時(12時以降のコマが取引対象)、当日15時(18時以降のコマが取引対象)の合計3回程度開催することを基本的な方向性として、必要に応じて、将来改めて検討を行う案が示された。
なお、前日開催の時間前UC市場は、実需給に向けた発電計画・需要計画や、送配電事業者の翌日計画、広域機関の広域予備率策定のベースとなる取引の場を提供するものである。現在の計画提出等のスケジュールは図4のように、前日12時にバランシンググループ(BG)計画が提出され、需給調整市場の入札・約定を経て、16時〜17時頃に一般送配電事業者(TSO)が翌日計画を策定し、前日18時に広域機関が広域予備率を公表している。
これらを前提とする場合、前日17時に時間前UC市場を開催することは概ね合理的と判断された。
これに対して、当日開催の時間前UC市場は、当日の天候や気温を踏まえたBG(発電・小売)計画の修正を行うことが主目的であると考えられる。
しかしながら、当日15時開催の時間前UC市場が18時以降のコマを取引対象とする場合、太陽光発電にとっては、ほぼ取引機会とならないと考えられる。また、火力電源であっても起動・並列には一定の時間を要するため、一部の電源は時間前UC市場に応札できないと考えられる。
SCUC・SCED計算処理時間の制約はあるものの、BG計画の修正・提出を自動化する仕組みの導入等を前提に、取引対象コマを入札締切時刻により近づけることも含め、時間前UC市場の適切な開催時刻について今後も検討を続ける予定としている。
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