図3の左グラフは、ハイブリッド給湯機の時間あたり消費電力量を表しており、「通常モード」から「PVモード」に切り替えることにより、昼間帯に0.5〜0.6kW程度、合計1.7kWh/日程度の「上げDR」が見込まれる。同じくPVモードでは朝と夕方の消費電力量が下がるため、朝夕合計で約1.1kWhの「下げDR」が見込まれる。
さらに、電力需給逼迫時にはヒートポンプの運転を完全に停止し、ガス給湯器ですべてを賄うことにより、2.7kWh/日の大きな「下げDR」を行うことも可能である。
図4は2023年度までの数値であるが、2024年度の出荷は約3.8万台と報告されており、現時点、累計販売数は17.7万台と推計される。なお現在では、新規出荷台数の100%がクラウド接続機能の搭載、及びECHONET Liteに準拠しており、各メーカーでは自社クラウド(メーカーサーバー)への接続率を上げるため、アプリ機能の拡充や独自機能の向上を進めている。
エネルギー消費機器のDR ready要件を検討するにあたり、機器の本来用途を考えることは重要である。ハイブリッド給湯機は、お湯の供給を目的とした機器であるため、給湯が必要なタイミングで、不便なく、需要家にお湯を供給できることは大前提であり、DRリソースとしての活用は、機器の本来用途を阻害しないことが条件となる。
ハイブリッド給湯機はガスでも沸き上げが可能であるため、どのようにDRを行ったとしても「給湯」という基本的な用途を損ねることは無いものの、ガス使用量の増加やCO2排出の増加といった点で、高効率という特徴はある程度損なわれることに留意が必要である。
また電気とガスは小売事業者(料金体系を決める主体)が異なる場合が多く、それらを調整して、電気の代わりにガスで沸き上げるDRを行うことが可能なDRサービス事業者(サービサー)は現時点少数と考えられる。
よってDR ready勉強会では、ヒートポンプ給湯機と同じく、「電気による沸き上げ時間をシフトするDR」を基本として、ハイブリッド給湯機のDR ready要件を検討することとした。
なおDR ready要件は、機器が最低限満たすべき要件であり、電気の代わりにガスで沸き上げるDRに必要な機能等を、各メーカーの製品が具備することを妨げるものではない。
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