フランクフルト国際空港を離陸して2時間が経過した。LH416便は順調に大西洋横断飛行を続けている。アッパーデッキは地元ドイツや就航先であるアメリカを中心に各国からの報道陣で埋まり、上空では先ほどから和気あいあいの“取材合戦”がスタート。私も何人かの記者に「エアバスA380とどっちがいいか」などについて意見を求められた。
A380と、747-8I──。難しい質問だ。実際、どちらも遜色がない。A380に最初に乗ったときにはその「静寂性」に驚いたが、キャビンに伝わってくるエンジンのノイズレベルは、747-8のほうがさらに低いのではないか。そんな感想を私は正直に各国の記者たちに伝えた。エンジンからより離れたアッパーデッキだったこともあるかもしれないし、機内に計測器を持ち込んだわけでもないが、ボーイングの「ノイズを30%低減させた」という発表はそのとおりにとらえていいだろう。
約8時間のロングフライトもアッという間に終わり、LH416便は定刻より少し早くワシントンD.Cのダレス国際空港に到着した。お決まりの放水シャワーのアーチをくぐると、ターミナルで待ちかまえていたのは熱心なファンや地元関係者たちだ。ルフトハンザは今秋までに4機の747-8Iを受領し、ニューデリー、バンガロール、シカゴ、ロサンゼルスへと就航地を広げていく。8月6日には2号機がフランクフルト/デリー線に投入され、その就航フライトには私の取材パートナーである航空写真家のチャーリィ古庄氏が搭乗。「欧州とインドを行き来する人口は増え、デリー線も需要が多いと聞いています。この路線に、747-8Iはぴったりのサイズかもしれません。747-8Iは747-400よりもさらに大型化し、スタイルにも精悍さが増しました。実物を体験し、ほれぼれする旅客機だと感じています」と報告が届いた。
ワシントンD.C.に到着した私は、747-8IとA380をはじめ他の機種との乗り心地をもう一度じっくり比較するため、翌日夕方にダレス国際空港を発つLH419で再びフランクフルトへ折り返した。
作家/航空ジャーナリスト。東京都出身。学生時代に航空工学を専攻後、数回の海外生活を経て取材・文筆活動をスタート。世界の空を旅しながら各メディアにレポートやエッセイを発表するほか、テレビ・ラジオのコメンテーターとしても活動。
著書に『ボーイング787まるごと解説』『ボーイング777機長まるごと体験』『みんなが知りたい旅客機の疑問50』『もっと知りたい旅客機の疑問50』『みんなが知りたい空港の疑問50』『エアバスA380まるごと解説』(以上ソフトバンククリエイティブ/サイエンスアイ新書)、『新いますぐ飛行機に乗りたくなる本』(NNA)など。
Blog『雲の上の書斎から』は多くの旅行ファン、航空ファンのほかエアライン関係者やマスコミ関係者にも支持を集めている。
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