――成田からニューヨークまで、充実したフライトでした。映画も見ましたし、仕事もできたし。機内エンターテインメントも、かつてに比べるとずいぶん進化しましたよね。
江幡: JALが機内エンターテインメントシステムの最初のモデルを入れたのが2000年でした。当時は不具合が多く、お客さまにもだいぶご迷惑をおかけしたことを覚えています。その不具合に専門に対応する要員を別途、フライトに乗せていたくらいでした。その頃に比べると、確かに変わりましたね。現在はシステムも安定して100%に近い稼働率になっていますし、SKY SUITE 777ではモニターも23インチまで大型化して、昔とは比較にならないほどの進化だと私も思います。
――私は映画が好きですが、最近は映画館に行かなくなりました。かといって、DVDを借りてきて見ているわけでもない。海外との行き来が多いので、新作はたいてい機内で見てしまうんです。
江幡: リリースされるのが、機内はとても早くなりましたからね。それこそ、封切りと同時くらいに。
――そこに機内Wi-Fiのサービスが加わって、上空で過ごす時間もずいぶん変わったなというのが私の感想です。映画などをオンデマンドで楽しむこれまでの機内エンターテインメントと、今回始まった機内Wi-Fiとは、まったく性質の異なるサービスですよね。機内でのインターネット接続サービスはたしか10年前にもあったと思います。あのときも、私はとても期待したのですが。
江幡: 2004年から2006年までですね、「Connexion by Boeing(コネクション・バイ・ボーイング)」というシステムを機内に導入したのは。ところが、ボーイングが同サービスの事業から撤退してしまった(参照記事)。当時は今ほどノートPCをみんなが持ち歩く時代ではなかったし、需要も少なかったのでしょう。私自身は可能性を感じていて、以後も市場のリサーチは続けていたのですが、その頃からJALはあまり新しいものを追求しない会社になっていったという経緯があります。他社に追随する形でサービスを展開することが多くなった。リスクをとらず、当たり前にあるものをやっていればいいじゃないか、とね。そういう風潮の中で、経営破たんを迎えるわけです。
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