連載
» 2009年11月16日 17時30分 UPDATE

最強フレームワーカーへの道:「知図帳」に学ぶデータの見える化、Google Fusion Tablesで試してみよう

昭文社の『なるほど知図帳』は、地図帳ならぬ“知図帳”だ。これはグラフィカルなイラストによって、世界情勢を知れるところにポイントがある。こうしたデータの見える化、Google Fusion Tablesでも作れるのだ。

[永田豊志,Business Media 誠]
st_nagata01.jpg 『なるほど知図帳 世界 2009』では、地球温暖化から食料自給率、世界遺産数などさまざまなデータを見事な可視化で楽しく読ませてくれる

 業務に直接関係はないのだが、私の机には『なるほど知図帳 世界 2009』という昭文社地図が置いてある。タイトルが「地図」ではなく「知図」になっていることから分かるように、単に眺めるものではなく、世界情勢を知るための地図だ。そのため、「もっとも教育にお金をかけている国はどこ?」「世界一暮らしやすい国はどこ?」など身近な疑問に対して、カラフルなグラフィックをふんだんに取り入れて、楽しく眺められる本に仕上がっている。この手の「地図」にさまざまな可視化したデータをマッピングした本は人気のようで、書店に行くとさまざまなタイプが入手可能だ。

 上記のように世界地図に対してデータをマッピングし、その値の大小によって色を変えるという方法はとても直感的で見やすいのだが、これまではそれを自力で作成するのはとても骨の折れる作業だった。しかし、Googleではこうしたデータの可視化を支援するWebサービスをLabsですでに公開している。「Google Fusion Tables」がそれである。

 Google Fusion Tablesは、CSVファイルをアップするだけで、さまざまな図解グラフへ変換することのできるサービス。ビジュアライズ機能が非常に優れており、世界地図でのヒートマップ(数値によって地域ごとに色分けした地図)も手軽にできるのが特徴だ。世界各国のGDPなど主要な指標はデフォルトで用意し、このようなデータテーブルをさまざまな図解へコンバートしてくれる。


st_nagata02.gifst_nagata03.gif Google Fusion Tables。世界のGDPランキングのデータを読み込ませた上で[Visualize]タグを選び、プルダウンメニューから[Intensity map]をクリックすると、データ値を色の彩度で塗り分けてくれる。貼り付け用のタグ発行も可能なので、ブログに添付するのも簡単だ。右はIntensity map。いわゆるヒートマップである

 なぜ、私がこのようなデータの見える化、ビジュアライゼーションにこだわっているだろうか? それにはいくつか理由がある。

 1つは、「理解」のためだ。

 ビジネスにおいてロジカルに事象を説明し、提案を理解してもらうために「数字」は絶対に不可欠だ。顧客分析リポート、事業計画、売上分布――など、あらゆるドキュメントには数字が並ぶ。しかし、数字の「羅列」を見せられても、人は理解できない。数字は単体で存在しても意味をなさない。ほかの数字との「関連性」や「連続性」、全体の「トレンド」などがビジュアルになることで、はじめて意味を成す。

 数字の羅列だけを見て理解できている人は間違いなく、数字を頭の中で可視化できているから、理解できているのだ。


 しかし普段から「図解で思考」できている人はそれほど多くない。だから、誰が見ても分かるように「可視化」する必要がある。なお、図解思考については、11月25日発売の拙著『頭が良くなる「図解思考」の技術』に詳しく書いたので、ぜひ参考にしてほしい。

 「データの見える化」のもう1つの目的は、「感覚」に訴えかけるためだ。

 「理解」のために、数字の羅列をビジュアル化しただけでは完成とは言えない。なぜなら、それを見て理解してもらっただけではビジネスは動かないからだ。最終的に、どんなビジネスも「気持ち」が動かないと商売にはならない。簡単な例を示そう。

 例えば、世界で起こった紛争や事件の数を前述した世界地図にマッピングしたとしよう。おそらく中東やアフリカ中国や東南アジアのデータが高いはずだ。しかし、これを色の彩度で塗り分けるとすると、何色をベースにするのがよいだろうか。そう、やはり「紛争」を想起させる「赤」「オレンジ」などが適しているはずだ。赤みの強いエリアを見た時に、人は「燃え上がる炎」や「爆撃」などをイメージできるのである。


st_nagata03.jpg こちらも『なるほど知図帳 世界 2009』の中から。タワーの高さがひと目で分かるはずだ

 もう1つ例を挙げよう。世界の高層タワーの高さを比較するケースを想像してみてほしい。高さのデータだけを列記するのであれば1分とかからないだろう。しかし、これから高層タワーを作るかもしれないアラブの大金持ちに企画プレゼンするのであれば、どうだろう。ひと手間かけて、高層タワーの形、高さを比較できるような資料を作ったほうが、絶対に成功の確率は高まる。

 データはクールで冷たい。データ単体では意味を成さない。しかし、それらの関係やトレンドを「見える化」し、感情に訴える工夫を施せば、それらは生きた情報になる。提案書、報告書など機会のある時に、これらのことに留意して、それを見た者の心をゆさぶるデータの見せ方を考えてはいかがだろう。

著者紹介 永田豊志(ながた・とよし)

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 知的生産研究家、新規事業プロデューサー。ショーケース・ティービー取締役COO。

 リクルートで新規事業開発を担当し、グループ会社のメディアファクトリーでは漫画やアニメ関連のコンテンツビジネスを立ち上げる。その後、デジタル業界に興味を持ち、デスクトップパブリッシングやコンピュータグラフィックスの専門誌創刊や、CGキャラクターの版権管理ビジネスなどを構築。2005年より企業のeマーケティング改善事業に特化した新会社、ショーケース・ティービーを共同設立。現在は、取締役最高執行責任者として新しいWebサービスの開発や経営に携わっている。

 近著に『知的生産力が劇的に高まる最強フレームワーク100』『革新的なアイデアがザクザク生まれる発想フレームワーク55』(いずれもソフトバンククリエイティブ刊)がある。

連絡先: nagata@showcase-tv.com

Webサイト: www.showcase-tv.com


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