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» 2014年01月21日 11時00分 UPDATE

知っておきたい領収書の常識:自宅兼事務所の家賃や光熱費は経費になるの?

個人事業主やフリーランスの中には、自宅兼事務所にしている人も多いはず。その場合、自宅で掛かる費用のうちどれだけを必要経費にできるか知っていますか?

[梅田泰宏(公認会計士・税理士),Business Media 誠]

集中連載『知っておきたい領収書の常識』について

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 本連載は、2013年12月21日に発売の梅田泰宏著『経費で落ちるレシート・落ちないレシート』(日本実業出版社)から一部抜粋、編集しています。

 フリーランスや個人事業主として働く人にとって、領収書、レシートは「金券」のようなもの。その支払いが「経費である」と認められれば、支払う税額が減るからです。

 とはいえ、「何が経費になって、何が経費にならないのか」という基準は、誰も教えてくれません。なぜかと言えば、経費で「落ちるか」「落ちないか」という意味では、全ての領収書が「グレー」であり、ケースバイケースで、明確な基準が存在しないからです。

 しかし、実は、「落とすコツ」というものが確かに存在します。それは、具体的なケースを通してのみ、知ることができる種類のものなのです。本書は、「経費」に関する基礎知識を押さえたあと、具体的なケースを通して、経費で「落とせる基準」と「落とすコツ」を解説していきます。

  •  本連載は、フリーランスのライターである鈴木ヒロシさんと、税理士の梅田(私)が主な登場人物です。
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 店舗を持たずに事業を営んでいる個人事業主、あるいはノマドワーカーやフリーランスなど、いわゆるSOHO(Small Office/Home Office)で事業を営んでいる人のうち、自宅兼事務所にしている人は、多いはずです。

 こういう場合、自宅で掛かる費用のうちどれだけを必要経費にするかどうかが、悩みどころの1つになるはずです。まず、自宅兼事務所を賃貸している場合には、家賃の何割かは必要経費にできます。とはいえ、何%までOKなのかとなると明確な基準はありません。


shk_hiroshi.jpg 鈴木

うちは2DKなんですが。


shk_umeda.jpg 梅田

そのうち事務所として使っている面積が、全体の何%かという問題ですね。1部屋が資料室か何かで、1部屋が完全な仕事場で、残りのダイニングキッチンはプライベートとすれば、まあ5割か6割でしょう。


shk_hiroshi.jpg 鈴木

そんなに大ざっぱでいいんですか!


shk_umeda.jpg 梅田

正確にやるなら、図面を出してきてということになるけど、そこまでする必要はないですよ。それに、例えばダイニングで一切仕事をしないか、というとそうでもないだろうし、資料室に使っているところにはベッドがあるかもしれない。


shk_hiroshi.jpg 鈴木

いや、はい。まさにそういう配置ですね。


shk_umeda.jpg 梅田

だから、資料室のすべては仕事とは関係ないですしね。そこらへんは常識の範囲内で

50%か60%にしておけばいいと思いますよ。これが80%とか90%だったら、一体日常生活はどこで営まれてるの……? となるでしょ。


 水道光熱費も、この割合を基準に按分します。デスクワークが多く、PC関連機器をガンガン使っているということなら、まあ電気代は6割。携帯や固定電話代はもうちょっと認められるかもしませんが、8割ぐらいが限度でしょうか。

 水道代やガス代に関しては、水やガス使ってデスクワークするわけではないから、2割か3割……というふうにやっていけばいいのです。

 けれども、例えば自宅の一部が小料理屋、という場合、仕事柄、ガスや水道は、もっと必要経費にしていいでしょう。


shk_hiroshi.jpg 鈴木

あ、あの、細かいことですけど……。


shk_umeda.jpg 梅田

どうせ、トイレットペーパーも按分できるのか、とか言いたいんでしょ。


shk_hiroshi.jpg 鈴木

げ! センセは人の心が読めるんですか!


shk_umeda.jpg 梅田

これまでのあなたの質問を聞いてりゃ、だいたい分かります。みみっちいというかセコいというか。涙ぐましいというか……。


shk_hiroshi.jpg 鈴木

スミマセン……。


shk_umeda.jpg 梅田

でも、落ちないこともないですよ。


shk_hiroshi.jpg 鈴木

おお! ……っと、こんなところで喜ぶ自分が情けない……。


 自宅兼とはいえ、事務所に使っているんだからそこでトイレにも行くでしょ。ティッシュも使いますね。こういうこまごましたものも、家賃代の按分比率を基準にすればいい。ま、3〜5割というところですかね。実情にもよるけど……。

 ほとんど外出しないで、自宅兼事務所でずっと仕事をしている、というのであれば、半分ぐらいは認めてくれるかもしれませんよ。

 今回はずっと領収書の話だったけれど、税務署が見るのは、こういった生活の実情とのバランスなんです。例えば最初にも言ったけど、何でも経費にしてしまったら、生活費はどこから出ているんですか、ということになる。

 フリーランス、個人事業主、商店、家族会社。これらはすべて、個人と会社(店)との境界があいまいです。だから納税者も、「これは家庭で使っているモノだけど、仕事とも関係があるから経費にしちゃおう」ということになる。

 「ダメ元」で、あとで痛い目に遭うよりは、「これは仕事とも関係があるから3割だけ経費にしよう」といったふうに、現実的に自分のアタマで考えてみてください。そのほうが税務署の受けもいい。仮に税務調査に来られても、心証が違うんです。

 税務官も人間ですから、「いい加減な会社だな」と思われたら「利益も出ていないのに、どうやってこの暮らしができるんですか?」と厳しく突っ込まれるわけで。ここがいちばんのポイントなんですよ。

 ……さて、鈴木さんの質問も出つくしたようだし、本連載はこれにてお開きといたしましょうかね。読者の皆さま、ご清聴ありがとうございました!(終わり)

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