CDやゴルフ代も経費で落とせる?知っておきたい領収書の常識

個人事業主の場合、購入品が経費で落ちるかどうかの基準は非常にあいまいです。どのような基準で決めればよいのでしょう?

» 2014年01月09日 12時00分 公開

集中連載『知っておきたい領収書の常識』について

 本連載は、2013年12月21日に発売の梅田泰宏著『経費で落ちるレシート・落ちないレシート』(日本実業出版社)から一部抜粋、編集しています。

 フリーランスや個人事業主として働く人にとって、領収書、レシートは「金券」のようなもの。その支払いが「経費である」と認められれば、支払う税額が減るからです。

 とはいえ、「何が経費になって、何が経費にならないのか」という基準は、誰も教えてくれません。なぜかと言えば、経費で「落ちるか」「落ちないか」という意味では、全ての領収書が「グレー」であり、ケースバイケースで、明確な基準が存在しないからです。

 しかし、実は、「落とすコツ」というものが確かに存在します。それは、具体的なケースを通してのみ、知ることができる種類のものなのです。本書は、「経費」に関する基礎知識を押さえたあと、具体的なケースを通して、経費で「落とせる基準」と「落とすコツ」を解説していきます。

  •  本連載は、フリーランスのライターである鈴木ヒロシさんと、税理士の梅田(私)が主な登場人物です。

 これは知り合いから聞いた話で、事実かどうか分からないのですが……。ある小説家がいて、少々儲かりすぎた。そこで風呂場をリフォームして、ハワイでゴルフ三昧したんだそうです。家族も一緒の旅行です。

 それを経費で落とすために、「ハワイのゴルフ場に併設されたバスルームで殺人事件が起こる」という設定の小説を書いた。でも、かなり無理のあるストーリーで、だから売れなくて評価も下がって、文壇から忘れられていった……。


梅田

どうです。あり得ない話じゃないでしょ。でね、その小説家は結局損をしたかもしれないけど、税務的に言えば十分経費になるんですね。これが。


鈴木

ええええ! そんなの無茶でしょ!


 ハワイは取材旅行、ゴルフはストーリーを展開するための取材、風呂のリフォームも必要経費……というわけですね。まあ、100%全部は無理かもしれないけど、6〜7割は認められますよ。作品として面白くなくても、ハワイ、ゴルフ、風呂が作品に盛り込まれていて、そのための出費だと言われたら「作品が駄作だから認められない」とは、税務署は言いません。

 ただ風呂のリフォームに関しては、やや微妙ではあります。ショールームで十分じゃないかといわれて反論できるかどうかがポイント。また、作品を書いたあとに風呂をリフォームしたのであれば、これも厳しいわけです。


鈴木

じゃ、僕が昨日ユニクロで買ったこのジーンズも、仕事着だと言えばOKですよね。


梅田

それは喝! ジーンズを仕事着だと認めさせるのは、まず無理。だってあなたライターでしょ。基本はデスクワークの文筆業。ファッションデザイナーなら分かるけど。


鈴木

でも、仕事中はいつもジーンズなんですけど。


梅田

どうしても経費で落としたかったら、会社の制服ぐらいの感じにすることですね。仕事をするときは必ずこのジーンズを履いていて、打ち合わせで外出するときもジーンズだということを何らかの形で証明できるものが必要です。


 経費で落ちるかどうかの基準は、非常にあいまいです。税法には「収入を得るために使った経費」としか書いてない。だから、納税者側が「こういう理由で仕事に使いました」と言って、それが社会通念上、常識的であれば税務署も反論できないんです。

 その意味では、さきほどの小説家は努力家ですよ。必死で節税しようとしているだけで、脱税はしてないんだから。……ちょっとズレてるけど。

こんなモノまで経費で落とせる?

 歌手やタレントの衣装は経費になるだろうし、音楽家の人はCDを買っても経費になります。だけど文筆業の人にとってはCDが経費だというのは無理筋でしょう。仕事中にリラックスするために環境音楽を流している……とかの理由で何枚かは必要経費になるかもしれませんが、何十枚ものCDは無理ですね。

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