本製品が搭載する撮像素子は、1/2型 有効1600万画素の裏面照射型撮像素子「EXR CMOSセンサー」だが、1/2型の大きさで画素数が1600万画素もあると気になるのはノイズとのその処理。多くのコンパクトデジカメがそうであるように、やはりF770EXRも等倍で見るとノイズリダクションによって塗りつぶされたような感じになっている。とはいえ、極端な画像処理をしているわけではなく、写真として十分な画質になるよう調整されている。
本機はRAWとJPEGの同時記録が可能なので、JPEGデータとRAWデータを比較してセンサーの出す絵はどのようなものなのかをチェックしてみた。サンプルはプログラムオート、ISO100で撮影したJPEGとRAWから変換したJPEGデータだ。RAW現像は付属の「SILKYPIX」で行い、デフォルト設定のノイズリダクション処理だけをすべてオフにしてJPEG出力をしている。
JPEG画像はノイズが抑えられているものの、左の松の描写と右の土や奥のコンクリートの壁の部分の塗りつぶされたような描写となっている。ではノイズリダクション処理を無しにしたRAWデータはどうだろうか。
左の松の部分は残念ながら解像していないものの、色情報が残っているため立体感を感じることができる。右の土の部分はノイズこそあるが思ったより自然な色合いをしている。奥のコンクリートの壁も写真的な見え方としてはこちらの方が自然に感じる。色合いに関しては、SILKYPIXのデフォルト出力によるものが大きいためやや鮮やかに見えてはいるが、それでもノイズリダクションで平均化されていないため、立体感を含めたその場の雰囲気はRAWデータで感じることができる。
下はISO感度別のテストショットだが、ISO800までなら色情報の損失が少ない。ISO1600から解像感が甘くなるもののカラーノイズが抑えられている印象で、ISO3200は解像感がなくなっている。L版プリントやブログ、SNS用途であればISO3200でも色情報は比較的残っているので特に問題にはならないだろう。常用感度はISO800まで、実用的な感度はISO1600、暗所では非常用にISO3200を使用するといいだろう。
そのほか、赤外線通信機能を使った写真転送機能が便利だ。昨今の携帯電話/スマートフォンのカメラ機能が便利になったとは言え、さすがにF770EXRのような光学20倍ズームによる超望遠撮影はできない。それぞれ別の機器だがこうした通信機能を利用すれば、上手く機能の補完をし合う使い方ができる。
本文ではあまり触れていなかったが、プレミアムEXRオート機能は、明暗差があるシーンの補正が良くできており、シャッターを押すだけで見たままにダイナミックレンジの広い写真が撮れる。F770EXRは、超望遠撮影が可能な光学20倍ズームとGPS、赤外線通信など実用的な機能が搭載されており、コンパクトながら便利な全部入りコンパクトカメラとなっている。本製品の魅力は、さまざま用途に使える応用力の高さだと感じた。
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