Java 3Dは「JRL」でオープンソース化、「互換性が重要」とSunのシュワルツCOO

JavaOneでSunは「Java Studio Creator」によって新しい企業市場の掘り起こしを狙うとともに、Project Looking GlassやJava 3Dをオープンソース化することを明らかにした。しかし、ライセンスプログラムは「互換性」を最優先してJRLが適用され、依然として商用化はJCPを経なければならない。

» 2004年06月29日 09時21分 公開
[浅井英二,ITmedia]

 米国時間の6月28日に開幕したJavaOneカンファレンスでSun Microsystemsは、大方の予想どおり、Visual Basic対抗の開発ツール、「Java Studio Creator」(コードネーム:Project Rave)によって新しい企業市場の掘り起こしを狙うとともに、デスクトップ向けの3Dインタフェース、「Project Looking Glass」やJava 3Dをオープンソース化することを明らかにし、オープンソースに消極的との批判を和らげようとしている。2月にはIBMがJavaのオープンソース化を求める書簡も送っていた。

 なお、Project Looking Glassのオープンソース化は、6月初めのSunNetwork Shanghai 2004でデスクトップソリューションを担当するカーティス・ササキ副社長がその可能性を示唆していた。

 ただ、一連のプロジェクトが公開されるのは、昨年のJavaOneカンファレンスでローンチされた「java.net」サイト。これまで1000のプロジェクトが公開され、参加者は5万人に上る。開発途上のProject Looking Glassを除き、6月28日時点で既に「Java 3D」、ネットワークアプリの開発を簡素化する「JDesktop Network Components」、およびJavaアプリをOSネイティブのアプリ(例えばメーラーやWebブラウザなど)と統合する「JDesktop Integration Components」という3つのプロジェクトが同サイトで公開され、だれでも参加できるようになっているが、問題は適用されるライセンスだ。

 オープニングキーノートのあとに行われたプレスQ&Aセッションで、ジョナサン・シュワルツ社長兼COOは、記者の質問に「JRL(Java Research License)が適用される」と答えており、そうなると大学などの研究分野でのオープンソース開発は可能となるが、商用分野での利用は禁止されている。つまり、商用化する場合は、現在のJava標準化の枠組みであるJCP(Java Community Process)のプロセスを経る必要がある。

 JRLは、昨年のJavaOneカンファレンスでjava.netとともに発表された新しいライセンスプログラム。研究分野で自由なアイデアの創出を促す一方、商用化を制限しており、法的には保護されている。

 Project Looking Glassそのものは、Javaクライアントグループのヒデヤ・カワハラ氏が開発を進めるデスクトップ向けの新しい3D環境。ウインドウに透明感があり、くるくる回したり、ズームしたり、画面の端に寄せてみたり……、昨年9月のSunNetwork 2003カンファレンスでベールを脱ぎ、Java 3Dにあった「重い」「遅い」というイメージを払拭している。

 シュワルツCOOは、オープンソースコミュニティーの批判をよそに「JCPも一種のオープンソース」と言って憚(はばか)らない。Javaの成功は「互換性」や「ブランド」「ライセンス管理」をSunが重視したことによってもたらされたという主張にも一理ある。

 Q&Aセッションで彼は、メディアがオープンソース化について過剰に取り上げ過ぎだとしたうえで、「企業のCIOらはオープンソース化に関心はない。互換性はSunではなく、顧客にとってメリットがあるのだ」とその正当性を強調した。

Project Looking Glassのデモを行ったヒデヤ・カワハラ氏(左)とジョナサン・シュワルツCOO

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