NotesこそがIBM Workplaceを実現する──Lotus Dayで最新版への移行を促すIBM

Iris設立から数えれば20周年を迎えたNotesが、次の20年を踏み出すには「最新版への移行促進」が避けて通れない。日本IBMは、Lotus Dayで「IBM WorkplaceはNotesプラスで実現する」と明確に打ち出した。

» 2005年02月21日 17時12分 公開
[浅井英二,ITmedia]

 Notesの開発元、Iris Associatesの設立から20年が過ぎた今年、フロリダ州オーランドのLotusphere 2005は、Notesの父であるレイ・オジー氏(現在はGroove Networksの創設者兼CEO)が姿を見せるなど、お祝いムード一色となった。

 バージョン1.0の出荷から15年、グループウェア市場を切り開いてきたNotes/Dominoの出荷ユーザーラインセンスは1億1800万に達している。1990年代後半、インターネットの爆発的な普及が招いた最大の危機も逆にインターネット標準を果敢に取り込むことで乗り切った。今年のLotusphereでも、Webサービスや新しいIBM Workplace Cilent Technologyに対応する将来バージョン(7や8)が紹介され、ほかのシステムとのさらなる統合が約束されている。

 2月17日、都内のホテルで行われた「Lotus Notes/Domino Day 2005」で日本アイ・ビー・エムの澤田千尋ロータス事業部長は、「これからの20年もユーザーやパートナーのみなさんと一緒に歩みたい」と話す。

澤田ロータス事業部長

 しかし、「次の20年」に踏み出すには、Notesが超えなければならない「アップグレード」という壁がある。それはソフトウェアビジネスに共通の課題でもある。

 オーランドのLotusphereでは、北米ユーザーの実に9割がバージョン6.xへの移行を済ませたと報告されたが、日本市場では4割に満たない。インスタントメッセージング機能を統合したり、大規模なサーバ統合を可能にすべくスケーラビリティーを改善した現行の6.5は「Notes/Domino 15年の集大成」とIBMが喧伝するものの、日本のユーザーらは慎重だ。

2005年は移行の年

 とはいえ、1990年代後半、日本市場でNotesの本格的導入が進んだバージョン4.xは既にサポートが打ち切られている。1995年に設立され、昨年10周年を祝ったノーツコンソーシアムによれば、「2005年は移行の年になる」(鈴木文彦事務局長)という。

 Lotus Notes/Domino Dayでは日本IBMの澤田氏が、次の3つに絞り、シンプルなメッセージを伝えた。「6.5へのアップグレード」「WebSphere Portalでさらなる生産性改善」、そして「IBM Workplaceへの発展」だ。

 「IBM Workplace製品群」は当初、J2EEベースでNotes/Dominoをリプレースする次世代版というメッセージが伝わり、既存ユーザーに動揺を与えた。異なる製品ラインを提供する「2レーンハイウェー」構想による混乱だ。Notes/Dominoユーザーは、「いつでも好きなときに次世代版に移行できるが、いつかは移行しなければならない」という不安を抱えてしまった。

 ただ、IBM Workplaceは製品である前に、ユーザーらに約束するロードマップでもある。コラボレーションツールと業務アプリケーションを統合し、適切な意思決定を迅速に下せる環境を構築できるようにするのが狙いだ。

 IBMは昨年、サーバ管理型の新しいリッチクライアント、IBM Workplace Client Technologyを発表、クライアントサイドでアプリケーションを統合するこの技術を標準として普及させようとしている。Eclipseフレームワークをベースとした新しいリッチクライアント環境では、プラグインされたさまざまなアプリケーションが連携できる。IBMがNotesプラグインを提供すれば、Notes/Dominoアプリケーションを性急にWeb化する必要はなくなる。J2EEによる全面的なリプレースが難しいと判断したのか、IBMでLotus製品やWorkplace関連製品を統括するアンブッシュ・ゴヤールGMも、今年のLotusphereでは、「あくまでもNotesプラス、Dominoプラスだ」とし、「2レーンハイウェー」構想を修正した。

 「急ぐことはない。Notesアプリケーションは新しい技術によって、サーバ管理型で、ほかのアプリケーションとも連携できるものへと進化できる」と澤田氏は話す。

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