Oracle OpenWorld開催、メッセージは「Power」から「顧客志向」へOracle OpenWorld 2005 San Francisco Report(2/2 ページ)

» 2005年09月20日 11時54分 公開
[谷川耕一 ,ITmedia]
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ベスト・オブ・ブリードをSOAで実現

 そもそも、ミドルウェアに注力しているというのが、顧客の資産を守ることに直結しているともいえる。アプリケーションの領域で過去に発表したOracle Information Architecture(OIA)と今回発表したミドルウェアのアーキテクチャであるOracle Fusion Architecture(OFA)の根本的な違いは、前者がOracleの製品のみで構成されたものであったの対し、後者は最初からPeopleSoftやRetekはもちろん他社製品をも取り込むベスト・オブ・ブリードをSOAで効率的に実現するという点だ。

 「他社のSOAソリューションではプロセスを統合する話はよく聞く。しかし、プロセスだけではだめだ。われわれのOFAは、データも統合する。プロセスとデータがあって初めて真のSOAが実現できる」とフィリップ氏は話す。

 OIAのシングルデータモデルの優位性を、さらにミドルウェアで拡張したものが、OFAなのだ。

 OFAのもう1つの特徴が、「Hot Pluggable」(ホットプラグ可能)だ。SOAの進化の過程で、アプリケーションの構成要素はモジュール化が進められた。Oracleではそれを徹底的に実施し、コンポーネントレベルにまで細分化している。これにより、コンポーネントを差し替えることで新たな機能や連携を容易に実現し、何か問題が発生した際にもコンポーネントごとに最小の単位で解決できるという。

 OFAの実現には、とにかく標準化が重要となる。ここでいう標準化は、すべてに対してオープンでいくことではない。業界において標準的な手法や規格に準拠することで、ISVなどのサードパーティーに対してオープンであることが重要なのだという。

 ここで頻繁に持ち出されるのが「エコシステム」というキーワードだ。パートナーとOracleがきっちりと手を結ぶことで、顧客を含め「Win-Win-Win」の環境を構築していくことを、1つの事象ではなくサイクルとして捉えるのがエコシステムだ。

 ここでも、「顧客からのフィードバック」が強調される。Oracleとしては、今後も製品をスイートとして提供していく。さらにHot Pluggableの確保で他社の提供する機能も簡単に使えるようにすることで、顧客に最適な環境を提供するという。この実現のために、アーキテクチャーのすべてのレイヤで標準を採用するのがOracle流のやり方だ。

顧客の声にこたえ顧客志向を加速

 PeopleSoftの買収により一気に加速した感のある同社のミドルウェア戦略だが、実際には既に一昨年のData Hubソリューションの発表時点から顧客志向の兆しはあった。

 当時は、Oracle E-Business Suiteのビッグバン型導入から脱皮し、得意のデータベースを活用した緩やかな他社アプリケーションとの連携が戦略として語られていた。この考え方を大きく発展させたのが、今回発表のOFMということになる。

 よりミドルウェアに重きを置くアーキテクチャーの必要に迫られた背景には、買収した製品群をいかにスムーズに統合するのかという新たな顧客からの要求があったのだろう。市場に対しても強気で、先端技術の牽引役となる発言が多かったこれまでのOracleから、顧客志向の話を数多く耳にすると、エンタープライズソフトウェアの市場が大きな転換期に差し掛かったように感じられる。

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