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» 2009年03月13日 08時30分 UPDATE

企業内クラウド化を支援:プライベートクラウドはコスト削減をもたらす「魔法の杖」――IBM

企業内の情報システムをクラウド化する「プライベートクラウド」を推し進めるサービスを日本IBMが発表した。情報システムの基盤となるITインフラをクラウド環境にすることはコスト削減に効くとアピールし、迫り来るクラウド時代に備えたシステム構築を支援する。

[藤村能光,ITmedia]

 日本IBMは3月12日、企業のIT基盤をクラウドコンピューティング環境に移行し、システムの運用効率やサービスの開発の工程を減らすサービスの提供を開始した。企業や企業グループ内の情報システムを、SOA(サービス指向アーキテクチャ)や仮想化、プロビジョニングなどの手法でクラウド環境に作り替える。企業ごとにクラウド環境を作る「プライベートクラウド」という考えを推し進めるサービスだ。

 今回発表したサービスは、企業内に個別のクラウド環境を構築し、社内のITリソースを社内向けに最適化するもので、IBMは「エンタープライズ・プライベート・クラウド」と呼んでいる。クラウド関連の技術を使ったネットワーク環境を作り、IT資産の活用やサービスの提供を効率化する。大量のサーバを仮想化して1つの巨大なITリソースを作り、インターネット経由でさまざまなユーザーに機能を提供するAmazonやGoogleの「パブリッククラウド」型サービスとは対をなすものだ。

ibm-clo-ge.jpgibm-clo-syo.jpg 日本IBMが考える企業におけるクラウド活用の現在(左)と将来(右)(提供:日本IBM)

プライベートクラウドの設計を支援する3サービス

 プライベートクラウドの構築を支援するサービスとしてIBMが新たに開始するのは、(1)クラウド・ビジネス・コンサルティング・サービス、(2)クラウド・テクノロジー・コンサルティング・サービス、(3)エンタープライズ・プライベート・クラウド設計/構築サービス――の3つ。

 クラウド・ビジネス・コンサルティング・サービスは、企業内でクラウドコンピューティングを使うための調査や計画作りを支援する。情報システムをクラウド指向にすることでどれだけコストを削減できるか、自社内に構築したクラウド環境とインターネット経由で利用できるクラウドサービスの使い分け、ガバナンス(IT投資を最適化するための仕組み)の改善などを検討し、クラウド環境への移行の施策とロードマップを作成する。情報システムのクラウド化で必要な要素を洗い出すサービスという位置付けで、価格は1カ月半のコンサルティング期間を設けた場合、700〜800万円。

 クラウド・テクノロジー・コンサルティング・サービスは、クラウド環境でITサービスの提供やシステム統合を実現するための戦略やロードマップを策定する。現状のITサービスを調査し、アプリケーションの分析やサービスのメニュー化を進める。M&A(合併・買収)や子会社の統合などで共通のシステム基盤が必要な場合など、具体的にクラウド化を進める場合の計画を作るもの。価格は3カ月のコンサルティングで2500万円。

 エンタープライズ・プライベート・クラウド設計/構築サービスは、クラウド環境の構築を支援する。ハードウェアの仮想化やストレージ容量のプロビジョニングを通じてクラウド基盤を作り、その上で稼働させるITサービスを実装する。サービスのカタログやテンプレート(ひな形)から企業ごとにクラウド基盤を作り、ユーザーインタフェースの設計やITサービスの課金などに必要なワークフロー基盤も構築する。データセンター全体をクラウド環境にするためのネットワークやセキュリティも整備できるという。価格は4カ月間の構築・設計で3000万円。

クラウド・ビジネス・コンサルティング・サービスクラウド・テクノロジー・コンサルティング・サービス クラウド・ビジネス・コンサルティング・サービス(左)とクラウド・テクノロジー・コンサルティング・サービス(右)の詳細(提供:日本IBM)

IBMが見せるプライベートクラウドへの自信

 IBMは既にプライベートクラウドへの取り組みを社内で進めている。世界中の基礎研究所に所属する3000人の研究員が必要なITリソースをオンデマンドで使える「IBM Research Computer Cloud」と呼ぶサービス基盤の活用はその一環だ。OSや仮想化ソフトウェア、CPUなどを選ぶと研究に必要なIT環境を仮想的に構築できる。仮想環境の構築に必要な時間は10分程度で、同等の環境を個別に構築する場合に要する数週間程度の期間と比べても圧倒的な早さだ。

 「Amazon EC2やForce.comのような仕組みも企業内に作れる」と話すのは、日本IBMの執行役員で未来価値創造事業担当の岩野和生氏だ。IBMが掲げるプライベートクラウドは、システムのインフラ部分をクラウド環境にすることで、その上で稼働するPaaS(サービスとしてのプラットフォーム)やSaaS(サービスとしてのソフトウェア)の運用や管理までをクラウド化することを見込んでいる。

image 日本IBM 執行役員 未来価値創造事業担当 岩野和生氏

 プライベートクラウドによるコスト削減効果もアピールする。同社は、10万人のエンジニアがソフトウェアの開発手法やアイデアを共有し合う独自のポータルサイト「Technology Adoption Program」のシステムをクラウド環境に移行した。その結果、ハードウェアの費用や人件費を年間で83.8%削減できたという。

 岩野氏は「金融危機で企業はコスト削減を第一の検討項目に挙げている。クラウドは(情報システムの)オペレーションやガバナンスを最適化し、IT業界のパラダイムシフトに対応するための魔法の杖だ」と述べ、プライベートクラウドを軸にしたクラウドサービスに自信を見せた。

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