DB2新版はPL/SQL対応、Oracleユーザーの移行狙う

日本IBMはリレーショナルデータベース管理ソフトの新版「DB2 9.7」を発表した。PL/SQLに対応し、コスト削減でも優位性を示すなど、Oracleユーザーの乗り換えを狙う。

» 2009年05月21日 19時20分 公開
[藤村能光,ITmedia]

 日本IBMは5月21日、リレーショナルデータベース管理ソフトの新版「DB2 9.7」の日本語版を6月19日から出荷すると発表した。データを操作、定義するデータベース言語「PL/SQL」に対応し、他社製品で開発したアプリケーションをDB2に移行できるようになった。

DB2 9.7に懸ける意気込みを披露する下垣氏 下垣氏は「成熟しつつあるデータベース業界に挑戦したい」とDB2 9.7に懸ける意気込みを披露した

 DB2 9.7の目玉はPL/SQLに対応したこと。PL/SQLはデータベース言語をOracleが独自に拡張したもの。これにより、OracleとPL/SQLで開発した独自のアプリケーションを修正せずに、DB2に移行できるようになった。新版を導入する顧客のメリットは、開発者が持っているDB2以外のスキルをそのまま使える点にあるという。

 DB2が2002年から実装してきた「オートノミック(自律型)機能」と呼ぶ自動管理の仕組みも強化した。専用のデータベース管理者を介さずに、データベースの構成のチューニングやバックアップなどを自動的に管理する。管理者は、特別なトレーニングをしたりスキルを習得したりしなくてもいい。複数のインデックスやテンポラリー表の自動圧縮など、データを圧縮する機能も強化しており、「サーバに掛かるコストの7割を運用管理の費用が占めている。この部分を削減できる」(日本IBM)という。

 日本IBMの理事でソフトウェア事業インフォメーション・マネジメント事業部長を務める下垣典弘氏は、DB2 9.7の発表を「(データベース市場において)歴史的な転換になる」と位置付ける。データベースは製品ごとに専用のデータベース言語で開発されており、他社製品への移行が難しい。結果として、ユーザー企業は1ベンダーの製品を使い続けることになる。PL/SQLへの対応はこうした「ベンダーロックイン」の状態を回避できる。

Oracleとのランニングコスト比較 Oracleとのランニングコスト比較

 コスト面でも優位性があるとIBMは説く。DB2 9.7では、パーティショニングや管理、チューニングのツール、初年度の保守料金を基本ライセンス料に組み入れる。IBMによるとOracle 11gと比較した場合、「5年間でランニングコストが約半分になる」試算もあるという。

 価格はDB2が使用するメモリに応じて3段階に分かれる。使用するメモリが4Gバイト以下の「DB2 Express Edition」は61万8500円(税別)、16Gバイト以下の「DB2 Workgroup Server Edition」は143万7000円(税別)、メモリの制限がない「DB2 Enterprise Server Edition」は461万7000円(税別)。6月19日にダウンロード出荷、8月28日に製品の出荷を開始する。

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