Oracleは今後もJavaに積極的に投資――エリソン氏が表明JavaOneで確約

「Oracleは何年にもわたり、Javaテクノロジーに対してどの企業よりも多くの投資を行っており、今後も投資を継続、拡大するつもりだ」とエリソン氏。

» 2009年06月04日 14時38分 公開
[Chris Preimesberger,eWEEK]
eWEEK

 米Oracle創業者のラリー・エリソンCEOは、4月20日に同社がSun Microsystemsを74億ドルで買収すると発表して以来、初めて公の場に姿を現した。サンフランシスコで開催中の「JavaOne」カンファレンスの会場を埋め尽くした聴衆の前にカジュアルなスタイルで登場したエリソン氏は、Oracleは今後もJavaコミュニティーに積極的な投資を続ける方針であることを明らかにした。

 さらにエリソン氏は、ふと口をすべらしたかのような言い方で、「新生Oracleは将来、Javaで動作するNetbookや携帯電話を生産する事業に乗り出すかもしれない」と述べた。

 エリソン氏は「当社のすべてのミドルウェアは100%Javaベースだ」と述べた上で、「当社は何年にもわたり、Javaテクノロジーに対して、金額的にはどの企業よりも多くの投資を行っており、今後も投資を継続、拡大するつもりだ」と語った。

 Sunのオープンソースのネットワーキングプログラミング言語であるJavaは、インターネットに接続されたほとんどのITシステム、そして全世界の何百万台もの携帯端末に組み込まれている。

 しかし並んで演壇に立ったエリソン氏とSunのスコット・マクニーリー会長は、Sunのハードウェアビジネスの今後については触れなかった。Sunのハードウェア事業には、プロセッサ、サーバ、ストレージアレイ、ネットワークスイッチ、シンクライアント端末などが含まれる。

 「今日は主としてJavaについて語ろう。そうすればケンカしなくて済む」とマクニーリー氏は軽口を飛ばした。

 Sunの買収発表以来、アナリストや業界関係者の間には、OracleがSunのハードウェア関連部門を切り離し、ほかのベンダーに売却しようと考えているのではないかとの憶測が流れていた。しかしエリソン氏は買収発表後間もなく、「そういったことをするつもりはない」と語った。

 JavaはOracleにとって非常に魅力的であるようだ。「Javaを利用すれば当社のプラットフォームを拡張し、その上にアプリケーションを構築できるからだ」とエリソン氏は話す。

 「われわれがFusion Suiteアプリケーションと呼んでいる当社の次世代ビジネスアプリケーションは、すべてJavaをベースとする。これは標準プラットフォーム上に構築される業界初のERP/CRMアプリケーションだろう。これが可能になったのは、Javaがオープンで拡張性があるからだ」(同氏)

 さらにエリソン氏によると、Oracleの技術者は何年にもわたり、Javaコミュニティーに大きな貢献をしてきたという。

 「われわれは、リアルタイムのビジネスアクティビティモニタリング(BAM)やビジネスインテリジェンス(BI)などさまざまな機能をJavaに追加する必要があった。それができたのは、Javaがオープンであるからだ。顧客やISP各社もそれぞれのアプリケーションに対して同じことができる」とエリソン氏は語る。

Java Netbookを開発か?

 モスコーニセンターで行われたカンファレンスに出席した約3000人のJava開発者を前に、エリソン氏はOracleの新たな事業展開として、Javaで動作するNetbookおよび携帯電話を開発し、Hewlett-Packard(HP)、Acer、Lenovo、Dellといった企業に対抗する可能性を示唆した。

 「こういったデバイスをSunから出してはいけないという理由はない」とエリソン氏は語った。「いずれJavaを基本ベースとしたコンピュータが登場するだろう」

 Netbookは比較的低価格の小型ノートPCで、電子メールのチェックやWebブラウズには十分な無線接続機能を備える。アナリストらの予測によると、Netbook市場は今年、出荷台数で約2500万台という規模に成長する見込みだ。昨年の出荷台数は1170万台だった。

 エリソン氏とマクニーリー氏は、Sunのそのほかのオープンソースソフトウェアプロジェクトには言及しなかった。SunはJava以外にも、MySQL(データベース)やNetBeans(ソフトウェアツール)などのオープンソースプロジェクトを手掛けている。

 マクニーリー氏によると、SunとOracleの合併で両社の研究開発部門が統合すれば、研究開発の予算総額が年間40億〜50億ドルとなり、全世界のトップ10社にランクインするという。

 「それはOracleにとって非常に明るい未来だ」(マクニーリー氏)

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