日本オラクルとUBIC、国際訴訟の対応支援をサービス化

日本オラクルとUBICは、国際訴訟での電子証拠開示「e-Discovery」への対応を支援するサービスを始める。日常的に作成される文書データの管理から証拠の開示までをワンストップで支援するという。

» 2009年12月02日 19時07分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 日本オラクルとUBICは12月2日、国際訴訟での電子証拠開示義務(e-Dicovery)への対応を支援するサービスを始めると発表した。グローバルビジネスでの訴訟リスクに備える仕組みを提供するという。

 サービスは、UBICが開発した企業内文書の管理、データの保全、訴訟関連データの検索と抽出、弁護士などの法務関係者がオンラインで資料を閲覧できる機能を搭載するシステム「Lit i View」と、Oracle Fusion Middlewareの企業コンテンツ管理(ECM)の機能を連係させることで可能にした。

 米国で行われる企業の特許侵害や製造責任、独占禁止法、情報漏えい、不正会計といった民事訴訟では、審理の前に原告と被告が訴訟内容に関連する証拠を開示することが義務付けられている。企業のIT化で電子文書などのデータ量が増大しており、訴訟に関連するデータを発見するのが難しい。e-Discoveryでは証拠提出の期限を守ることが厳しく求められ、違反した場合に罰則も伴う。開示証拠の作成では多大な人的コストなどが課題になっている。

e-Discoveryの流れ

 UBICでは約120件の国際訴訟の対応を支援したといい、これらのノウハウからLit i Viewを開発した。OracleのECM技術は金融や製造、流通、サービスなどのさまざまな企業で導入されていることから、2社の技術を連係することでe-Discoveryに伴う業務やコストを大幅に効率化できると説明している。

 会見でUBICの守本正宏社長は、「米国のe-Discoveryの約15%は日系企業が関係しており、さらに15%はアジア各国の企業も関係する案件となっている。企業のグローバル化が進む中で訴訟リスクは今後も高まるだろう」と話した。同氏によれば、米国民事訴訟の90%はeDiscoveryによって和解につながっている。

サービス概要

 サービスでは、企業がe-Discoveryへ迅速に対応できる文書管理の仕組みを構築しておくことで、訴訟対応に伴うコストや和解金などの増加を抑止するのが狙い。また、訴訟を担当する法務担当者の業務改善にもつながるという。

 日本オラクル常務執行役員のヴィヴェック・マハジャン氏は、「コスト削減とセキュリティ、コンプライアンスが企業の直面する大きな課題であり、Fusion Middlewareの活用が課題解決を支援する」と述べた。

 UBICは既に顧客への提案を開始しており、数社が採用を検討しているという。新サービスはグローバル市場に進出している大企業を中心に利用を見込んでいる。

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