アナリストの栗原潔氏が、ソフトバンクテレコムのクラウドサービス「ホワイトクラウド」について取材した。
アナリストの栗原潔氏が国内主要ベンダーのクラウドコンピューティング戦略について取材する。日立製作所、インターネットイニシアティブ、NECに続き、今回は、ソフトバンクテレコムに話を聞く。
2009年11月に発表したクラウドサービス「ホワイトクラウド」について、同社営業開発本部クラウドサービス統括部クラウドサービス開発部部長 立田雅人氏、同シニアマネジャー濱田幸典氏、同サービス開発課長大川啓一氏に話を聞いた。
栗原 「ホワイトクラウド」の概要についてお聞かせください。
ソフトバンクテレコム(SBTM) 当社がいままでもデータセンター系サービスを提供してきましたが、今後は「ホワイトクラウド」の体系に統合する予定です。その第一弾として2010年2月からHaaS(Hardware-as-a-Service)の提供を開始しました。
栗原 IaaS(Infrastructure-as-a-Service)とは違うのでしょうか。
SBTM 当社では、IaaSを運用管理などの付加価値を含めて定義していますので、まずはハードウェアの基本機能を提供するということで意識的にHaaSという用語を使っています。
栗原 やはり注目を集めているのは月額4750円からという料金だと思います。
SBTM 後発ならではのインパクト狙いという面はあります。現状は原価に近い価格で提供しているとお考えください。
栗原 そのほかのサービスの料金体系はどうなっているのでしょうか。
SBTM 「ホワイトクラウド」HaaSはシェアードとプライベートに大きく分かれます。シェアードは1つのサーバを仮想化機能で分割して提供する形態で、米国系のプロバイダーが提供するクラウドに近いサービスです。
プライベートはハードウェアを専有利用できるタイプで、従来型ホスティングに従量制料金を加えたようなサービスです。最低料金4725円というのは2010年2月から提供開始されるシェアードHaaSスタンダードの料金であり、2010年4月からはより柔軟性を増したシェアードHaaSプレミアムが提供開始されます。
シェアードHaaSスタンダード以外のサービスの料金については個別見積もりという形になりますが、ユーザーにとって魅力的な料金を提供できていると考えています。
栗原 低料金を打ち出せる理由はどこにあるのでしょうか。
SBTM 第一に、ソフトバンクグループの社内向けにシステムサービスを提供していますので、その基盤技術や運用ノウハウを有効活用できるという点があります。システムベンダーとの交渉により従量制料金を採用しています。つまり、お客様に従量制料金でサービスを提供するとともに、当社の調達においても従量制型料金を使っていることになります。これによって財務的に無理なく柔軟なサービスを提供できるわけです。
栗原 拡張計画はありますか。
SBTM 今後2〜3年で多くの機能拡張の実施を検討しています。当然、PaaS、SaaSの領域には、当社としても進出しますし、パートナー企業によるPaaS、SaaSの提供も支援していきます。ビジネスアウトソーシングの領域まで含めたサービスを考えています。例えば、既に当社で運用実績がある中国におけるデータエントリー業務などが考えられます。また、シンクライアントのサービス、いわゆる、DaaS(Desktop-as-a-Service)も検討しています。
栗原 ホワイトクラウドというサービス名称は、ほかのソフトバンク系サービスとしてのブランドイメージとの整合性を目的としたものでしょうか。
SBTM その通りです。ソフトバンクグループ全体として力を入れているというメッセージです。音声系以外では初めて「ホワイト」という言葉を使っています。そのあたりからも意気込みを感じていただければと思います。例えば、iPhoneをアクセスデバイスとして利用するクラウドサービスなども検討しています。
栗原 ホワイト家族を使ったプロモーションなども考えられますでしょうか。
SBTM 面白いかもしれませんが、それについては現時点では何とも申し上げられません(笑)
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