シュミットCEO、「ビジネスモバイル第一主義」を強調Google Docs刷新で

新Google Docsでは、HTML5と新レイアウトエンジンの採用により、iPhoneやAndroid端末でもドキュメントをそのまま表示・編集できるようにした。

» 2010年04月15日 15時26分 公開
[Clint Boulton,eWEEK]
eWEEK

 Microsoft Officeに対抗する「Google Docs」の新たなチャレンジが注目を集める中、その影に隠れて目立たないが、同スイートのワープロ、表計算、プレゼンテーションの各アプリがスマートフォン向けに最適化された。

 米Googleは4月12日(現地時間)、Google Docsエディタのメジャーアップグレードを発表した。各アプリのコードをHTML5で書き直すとともに、アプリを高速化することによってユーザーエクスペリエンスを改善したという。

 Docsでは、Google Android、カナダのRIM(Research In Motion)のBlackBerry、米AppleのiPhoneなどのスマートフォンのモバイルWebブラウザからドキュメント、スプレッドシート、プレゼンテーションを表示し、編集することも可能になった。

 Googleによると、Docsは修正なしで携帯端末上で動作するという。ただし、BlackBerryユーザーがスプレッドシートを編集するには、「Opera Mini」ブラウザからアクセスしなければならないとしている。

 Google Docsのエンタープライズプロダクトマネジャーを務めるアニル・サバーワル氏によると、スマートフォン上でのDocsの表示はデスクトップ上での表示とほとんど変わらない。これは、Docsを書き直し、HTML5に加えて新しいJavaScriptレイアウトエンジンを利用するようになったからだという。

 「これはわれわれにとって大きな競争優位になるものだ」とサバーワル氏は語る。

 HTML5の採用は、Google Apps開発チームの取り組みが、昨年10月に最初のモバイル向けGoogle Docsをリリースしたときから前進したことを示すものだ。最初のモバイル版では携帯端末上でDocsのコンテンツを編集できないなど、表示、機能ともに制約があった。

 今回のアップグレードは、エンタープライズモバイル分野への進出を狙うGoogleにとって重要な動きだ。この分野では、iPhoneがゆっくりと、しかし確実に影響力を強めている。

 Googleのエリック・シュミットCEOは、企業がITアーキテクチャを構築するに当たっては、携帯端末のことを最初に考慮すべきだと強調している。これは、多くのITアーキテクトにとって受け入れ難いことかもしれない。彼らは、ほとんどのエンタープライズアプリがサポートされていないという理由で携帯端末は厄介な存在だと考えているからだ。しかしシュミット氏は、携帯端末に対応することが正しい方向だと主張する。

 「現在、本当に重要なのは、モバイルアーキテクチャを正しく理解することだ。なぜなら、モビリティはいずれ、サービスのプロビジョニングの中心的要素になるからだ」――シュミット氏は4月12日、Docsのアップグレードが発表されたGoogleのクラウドコンピューティングイベント「Atmosphere」でこのように語った。

 またシュミット氏は、スマートフォン、タブレット、ノートPC上でビジネスプロセスを可能にする優れたアプリの開発に優秀なチームを投入すべきだと企業にアドバイスした。

 「常にモバイル第一でなければならない」とシュミット氏は言い切る。「どんな企業でも客先に出向く担当者がいる。客先で実際の業務を行うのであれば、携帯端末をめぐる状況を社内で把握しておかねばならない。従業員が相互運用性を求めるようになる一方で、セキュリティが非常に重要となるからだ」

 シュミット氏はさらに「Docs刷新の最大の動機はHTML5標準の登場だ」と強調した。

 HTML5の成熟化は、デスクトップのWebアプリだけでなく携帯端末用のWebアプリにも歓迎すべきことだ。アプリ間の衝突がなくなり、ウイルスに感染することも少なくなるからだ。これはエンタープライズソフトウェアで不可欠な要件だ。

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