IBMによるNetezzaの買収はEMCとOracleへの明確なメッセージ

IBMはDWH・分析アプライアンス分野のリーダーを買収することで、EMCとOracleに宣戦布告した。

» 2010年09月24日 07時52分 公開
[Chris Preimesberger,eWEEK]
eWEEK

 米IBMは9月20日(現地時間)、データウェアハウジング(DWH)アプライアンスメーカーの米Netezzaを17億ドルで買収すると発表した。これが米Oracleと米EMCへのメッセージであることは明らかだ。

 IBMが実際にこのメッセージを書き記すとしたら、次のような文面になるだろう――「EMCよ、あなた方は米Greenplumを獲得した。Oracleよ、あなた方には豊富な知的財産を持っている。われわれは、2000年代半ばから22社のデータ分析企業を手に入れたのに加え、今回はNetezzaを獲得した。今後も視界に入るあらゆるBI(ビジネスインテリジェンス)企業を買収していくつもりだ。あなた方の挑戦を受けて立とう!」

 今回の買収にはもう1つの見方がある。それは、IBMがNetezzaのデータ分析技術に加え、DWHに関する同社の専門知識も強く必要としていたというものだ。

 データの分析およびその管理手法の改善は、ITの核心ともいえる部分だ。雨後の竹の子のように次から次へと登場する最新の物理マシンや仮想マシンからデータを抽出し、それをビジネス目的で利用するという手法は、日ごとに企業の業務活動の一部となりつつある。

 その理由の1つは、日常業務および市場での競争に関しては、手元にどれほど多くの情報があっても多過ぎることはないからだ。

 アナリストたちも今回の買収に関心を寄せている。米Enterprise Management Associatesで調査とBIを担当するショーン・ロジャー副社長によると、NetezzaはIBMが欲しがっているアドバンテージを数多く持っているという。

 「NetezzaはDWH・分析アプライアンス分野のパイオニアであり、全世界で350社以上の顧客を抱えている。IBMはこの分野のリーダーを買収するのだ」とロジャー氏は米eWEEKの取材で語った。「NetezzaはInfoSphere、Cognos、SPSSと高度な連係を既に実現しており、最近では(昨年)IBM System xハードウェアとも連係した」

 「IBMがOracleおよびExadataプラットフォームに対抗する上で、Netezzaは非常に強力なソリューションを提供する。さらに同社のソリューションは、IBMのSmarter Planet構想、そしてBI、企業業績管理、高度な分析といった分野への進出拡大の狙いにもぴったり合致する。これはIBMにとって素晴らしい買い物だ」

 米Forrester Researchのジム・コビーラス氏はブログで次のように述べている。「IBMによるNetezzaの買収は、DWH市場で両社がシェアを拡大する上で不可欠だった。両社にはOracleという共通のライバルがいる。Oracleはますます強力なアプライアンスベースの製品ポートフォリオを展開しており、このダイナミックな市場における両社の長期的な地位を脅かしている」

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