「クラウドの新基準に」――インテル、性能を最大80%向上させたサーバ向け新プロセッサを発表

インテルは、従来のXeon 5600ファミリーと比較して性能を最大80%、電力効率を50%以上アップさせた「XeonプロセッサE5ファミリー」を発表した。

» 2012年03月07日 17時51分 公開
[本宮学,ITmedia]
photo インテルの宗像義恵 副社長

 インテルは3月7日、サーバ/ワークステーション向けプロセッサの新製品「インテル XeonプロセッサE5ファミリー」を発表した。E5-2600ファミリーは従来製品(Xeonプロセッサ5600ファミリー)と比べて性能を最大で約80%、電力効率を50%以上アップさせたという。

 E5-2600ファミリーは、最大8コアおよび最大768Gバイトのシステムメモリを搭載できる2ソケット向けサーバプロセッサ製品だ。拡張命令セット「アドバンスド・ベクトル・エクステンション」(AVX)をサポートし、高い演算処理能力を必要とするアプリケーションの性能(1クロック当たりのフロップス)を最大2倍に向上させたという。

 また、プロセッサの消費電力や温度に応じてパフォーマンスを最適化する「ターボ・ブースト・テクノロジ2.0」を搭載。ワークロードが急増した際に自動で動作周波数を引き上げることで、安定した稼働を継続できるようにしたという。

 I/Oも高速化した。従来製品はネットワークアダプターとメモリ間でデータを転送する際、I/Oハブとプロセッサを経由するという方式をとっていた。一方、新製品ではプロセッサ内にI/Oハブを統合した「インテグレーテッドI/O」を採用したことで、従来比でI/Oレイテンシーを最大30%削減したという。さらに、I/Oシリアルインタフェースを従来のPCI Express2.0からPCI Express3.0に変更し、ポート当たりの帯域幅を2倍に拡張したとしている。

photophoto ネットワークアダプターからメインメモリまでの経路イメージ図

 インテルの土岐英秋インテル技術本部長は「(従来の1GbEに代わって)10GbEのネットワークアダプターが増えてきたことで、1つのボトルネックは解消できた。だがインテルはさらに先の進化を目指してインテグレーテッドI/Oを開発し、これまで以上に高速にデータを転送できるようにした」と話す。

 さらに同社が新製品で注力したのが、電力効率と運用効率の向上だ。E5ファミリーは、場合によってはメインメモリを介さずにデータ転送を行う「ダイレクトI/O」方式などを採用したことで、従来製品と比較して電力効率を約50%アップさせたという。また、プロセッサの消費電力データと温度データをリアルタイムに監視・制御できる「ノード・マネージャー」や「データセンター・マネージャー」などのツールをサポート。これにより、システム管理者が「消費電力を細かくチェックしながら安心してラックを積み、データセンターの効率を高められるようにした」(土岐本部長)という。

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 インテルの宗像義恵 副社長は「(新製品が)サーバやワークステーションだけでなく、データセンター全体を構成するストレージ製品やネットワークスイッチ製品などにも使われ、パブリッククラウドとプライベートクラウドの新基準になっていくはずだ」と期待を込めた。

photophoto 左から、300ミリウェハー、インテル XeonプロセッサE5ファミリー

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