アジアの中小企業を巻き込むネット革命の嵐 Googleは「台風の目」になるのかGoogle helping small business think report(2/2 ページ)

» 2013年04月18日 09時00分 公開
[國谷武史,ITmedia]
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SMBが主役の時代

 テムサマニ氏は、事例発表に登壇した以外の国の企業も、ネットの活用で成長を遂げるケースが相次いでいると強調する。「アジア太平洋地区で、まずこの動きが本格化したのはオーストラリアだ。それが日本や香港、そしてアジア全域に拡大した」(同氏)

 日本から参加した九州ラーメン大手「一風堂」を運営する力の源カンパニーは、2012年夏からバナー広告と検索連動型広告をスタートした。その狙いは集客であり、社長室の加島輝光氏によれば、広告効果によって既存店の売上が約5%アップし、サイト訪問者も50%増えたという。

 「国内でも多数出店しているが、インターネット活用という新たな取り組みによって、テコ入れを図ることができたと考えている。今後は海外進出にも注力していくので、さらなる活用を検討していきたい」と話している。

日本のユーザー企業として「一風堂」。海外メディアの注目を集めた

 ゲストスピーカーとして登壇したMcKinsey Global Instituteのシニアフェロー、アヌ・マドヴァカール氏によると、アジアには1億5000万社のSMBが存在し、アジア全域のGDPの50%を占めるという。インターネット普及率の高い国ほどSMBがビジネスにネットを活用する傾向が高く、これからの普及率が高まっていく国でも同様になると予想し、SMBがさらなる経済発展の主役を担っていくとの見方を示した。

 GoogleがSMB向けビジネスに注力するのも、こうした背景によるところが大きいようだ。Google Asia Pacific SMBオペレーションズ ディレクターのケビン・オケイン氏は、「オンライン広告によってSMBの姿が変りつつある」と語る。

Googleのケビン・オケイン氏

 同氏はGoogleのサービスのコンセプトが「平等と選択肢の提供」にあるとし、(1)オンライン広告の効果の可視化、(2)検索でのマッチング機会の創出、(3)顧客主導型の出稿費用、(4)マーケティングの簡素化――の実現に取り組んでいると説明する。さらには同社の多様な広告サービス、例えば、YouTubeでの動画広告といったものを組み合わせて展開するケースも増えているとした。

 「Googleが1999年に初めて獲得した広告は米国のレッドロブスターの販売会社だった。アジアではタイのオーダーメイドスーツの会社だった。いずれもSMBだ。SMBはイノベーティブであり、とにかく面白い」と語り、検索サービス最大手となった同社の成長の背景に、SMBとともに歩んできたネットビジネスの歴史があるというメッセージを発した。

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