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» 2013年04月26日 09時30分 UPDATE

エキナカ自販機の“常連”を増やせ ビッグデータ活用で新たな挑戦、JR東日本WB

JR東日本ウォータービジネスは、エキナカ自販機で集めた年間2億レコードものPOSデータを分析して商品開発や販売戦略に役立てている。今後は新たな施策を通じ、エキナカ自販機の“常連”獲得を目指すという。

[本宮学,ITmedia]

 ITの分野で注目を集める「ビッグデータ」。多種多様なデータを分析して価値を見出そうというこの考え方に、早期から取り組んでいる企業の1つがJR東日本ウォータービジネス(JR東日本WB)だ。JR駅構内の飲料水ビジネスを手がける同社は2010年から、数千台の自動販売機で集めた大量のPOSデータを分析し、商品開発や販売戦略に役立てている。

photo “落ちないキャップ”を採用したフロムアクア

 その成果の1つが、2012年にリニューアル発売したペットボトル入り飲料水「フロムアクア」だ。同社は4500台(当時)の自販機で集めたデータを基に「フロムアクアは移動中に飲まれている場合が多い」という仮説を立て、片手での飲みやすさを重視して“落ちないキャップ”を開発した。それを用いたリニューアル後、フロムアクアの年間売り上げは従来比で1.5倍に増えたという。

 「いまや、どんな施策を行う際も必ずデータをチェックしている」と話すのは、JR東日本WBで営業本部長を務める笹川俊成氏。「5月には、新たなサービスとして自販機のポイント会員制度をスタートする。これに合わせてデータ活用も次のステップに進めていきたい」と話す同氏に、取り組みの背景と今後について聞いた。

年間2億レコードのデータを分析 隠れたニーズの発掘も

 JR東日本の子会社として2006年に創業したJR東日本WBは、駅構内(エキナカ)自販機事業やJR東日本グループ向け飲料の仕入れ・卸売業、オリジナル商品の開発事業などを手がけている。中でも自販機事業では、1つの自販機にさまざまなメーカーの商品を取りそろえた「ベンダーミックス機」を展開したり、交通系電子マネー(Suicaなど)での決済対応を推進するなど、さまざまな取り組みを実施してきたという。

 そうして順調に売り上げ規模を伸ばしてきたものの、いわゆるリーマンショックの影響を受け、2009年度に初の減収を記録。笹川氏は「当時、ブランドミックス機や交通系電子マネー対応機の展開数も頭打ちで、施策の方向転換が迫られていた」と振り返る。

 そこで新たに目を付けたのが、自販機のPOSデータを用いたマーケティングだ。同社は2009年、エキナカ自販機にSuica決済端末「VT-10」を導入し、POSデータを収集できる体制を整えた。データの分析は2010年にスタート。また2011年には、解析効率の向上を目指して富士通ビー・エス・シーのオンメモリデータベース「Oh-Pa 1/3」を導入した。こうして(1)単品別の販売時間帯・箇所、(2)単品別のリピート率、(3)購入者の性別年代、郵便番号(Suicaポイントクラブ会員データから算出、個人情報は含まない)――など、年間約2億レコード(100Gバイト相当)のデータを分析してきたという。

photo 笹川氏

 データ分析の成果は、さまざまな形で表れている。先述したフロムアクアのリニューアルによる売り上げアップのほか、自販機内の商品選定にもデータを活用し、売り上げ増加を実現しているという。

 「例えば2012年には、午後の早い時間に自販機の売り上げが落ち込みやすい点に着目し、商品カテゴリやフレーバーなどさまざまな軸で売れ行きを分析してみた。すると、500ミリペットボトル飲料は朝に売り上げのピークがあるのに対し、280ミリペットボトル飲料は全体の売り上げが下がる午後によく売れていた。さらに、午後の販売状況を細かく分析すると、特に女性の40代が280ミリサイズを多く買っていることが分かったため、40代女性にヒットしそうな商品を積極投入してみたところ、その時間帯の売り上げアップにつながった」(笹川氏)

 笹川氏によると、40代女性という購入者層は全体からみると売り上げ規模が少ないため、従来はその層に向けた販売施策を行っていなかったという。だが今回、購入者の属性、買った商品カテゴリ、時間帯などを複合的に分析することで、隠れたニーズを発掘できたというわけだ。

photo 350ミリリットル以下のペットボトルは、他のサイズと比べて女性の購入率が高いという

「ロイヤルカスタマー」獲得へ 新たに会員制度も発足

 同社が今後新たに取り組もうとしているのが、エキナカ自販機の「ロイヤルカスタマー」(ヘビーユーザー)の創出だ。現在、エキナカ自販機で飲料を月2回以上購入するユーザーは上位7%に過ぎず、85%は月平均1回未満というデータがある。今後、ヘビーユーザーの利用シーンなどを分析することで、1人当たり購入回数の増加に向けて訴求点を探っていきたいという。

 また5月には、エキナカ自販機向けポイントサービス「acureメンバーズ」をスタートする予定。同サービスは、あらかじめ登録した電子マネーを使ってエキナカ自販機で対象飲料を購入すれば、プレゼント抽選に応募できる「acureポイント」がたまる仕組みだ。対象飲料は季節ごとに4商品ずつ展開。「“エキナカ自販機で買おう”という気持ちを持ってもらいたい」と笹川氏は話す。

photophoto acureメンバーズを通じ、会員向けに情報発信も行っていく

 acureメンバーズは、初年度で会員数10万人を目指すという。一連の取り組みを通じて「エキナカ自販機のファンになってくれる人が増えてくれれば」と笹川氏は期待している。

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