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» 2014年04月07日 08時00分 UPDATE

アジアで存在感を発揮 ITでにぎわう島・沖縄に

IT分野において沖縄とミャンマーや台湾などアジア諸国との交流が活発になりつつある。関連団体の連携協定や民間企業の業務提携が進むことで、アジアに対する沖縄IT産業の価値をアピールしていきたい考えだ。

[伏見学,ITmedia]

開発途上国のIT活用を支援

 那覇〜東京間の距離が約1560kmであるのに対し、台北(台湾)まで約630km、上海(中国)までは約820km、マニラ(フィリピン)までも約1480km――。この数字が沖縄とアジア各国との緊密さを物語っている。この立地的な特徴を強みに、沖縄のIT産業がアジア地域への展開を本格化させようとしている。

 その動きを後押しするのが、2013年3月末に沖縄県が国際協力機構(JICA)と締結した包括的な連携協定だ。観光開発やIT技術など、沖縄が持つ知見やノウハウを開発途上国のニーズによりマッチさせるような協力を行うことを目的としている。

 具体的には以下を主に取り組んでいく。

(1)開発途上地域からの技術研修員の受け入れ、開発途上地域への専門家派遣、草の根技術協力事業等の実施に関する協力

(2)沖縄県が有する技術・ノウハウを活用したJICA事業への協力

(3)青年海外協力隊等のJICAボランティア事業への県民の参加促進および行政機関、県内企業等の現職参加制度活用の推進

(4)県内の教育機関等における国際理解教育の推進

(5)県内企業の海外展開支援やグローバルな産業人材育成等における民間連携の促進

(6)国際協力に関する国際会議、イベント等の沖縄県開催への協力

(7)双方の職員等の人材交流および人材育成

(8)双方が実施する国際交流事業への協力

政府も民間もアジア諸国と相互交流を

 IT産業分野において既に始まっている取り組みの1つが、ミャンマーとの交流だ。その担い手の中心になっているのが公益社団法人の沖縄県情報産業協会(IIA)である。IIAは、沖縄IT産業の振興と地域情報化の促進を図り、経済発展に寄与することを目指し設立された団体。交流内容に関して、ミャンマーの代表的なIT企業や政府機関と意見交換し、同国と沖縄県の中小企業が連携できる可能性を模索するほか、ミャンマーのIT研修員の受け入れによる技術研さんなどを進めている。また、ミャンマーの国家レベルのIT専門家を招聘し、沖縄IT津梁パークをはじめとするIT関連施設の視察などをサポートしている。

沖縄県情報産業協会の仲里朝勝会長 沖縄県情報産業協会の仲里朝勝会長

 ミャンマーはまだ企業、政府ともにIT活用は未成熟だが、それであるが故に、今後大きく発展する可能性を秘めているのだという。「沖縄とミャンマーの交流はまだ始まったばかり。ミャンマー政府もITの利活用に前向きで、行政システムや公共システムなどの構築を検討している」と、IIAの仲里朝勝会長は述べる。そうしたニーズに対して、IIAや沖縄のIT企業が支援できるような体制を作っていきたいとしている。

 そのほか、ベトナムやインドネシア、台湾とのIT産業での連携も積極的に進める構えだ。特に仲里氏がミャンマーの次に目をかけるのがインドネシアである。実は、沖縄とインドネシアの関係は深い。戦後の沖縄を代表する政治家、稲嶺一郎氏(故人)がインドネシアの独立に多大な貢献をし、国賓待遇を受けていたこともあって、今でも沖縄とインドネシアの民間交流は盛んである。仲里氏は「今後はIT分野でもさまざまな形で連携していきたい」と意気込む。

 台湾に関しては、既にIT企業同士の事業連携など、実ビジネスでの交流が進んでいたが、沖縄と台湾の企業の関係構築をさらに支援すべく、今年2月には沖縄県産業振興公社と台湾のIT団体である資訊工業策進会が連携協定を締結した。時を同じくして、沖縄に本社を構えるIT企業で、URLなどの文字情報を音声に変換し、それをスマートフォンなどのマイクで受信して文字情報に戻す技術「サウンドコード」を開発するフィールドシステムと、台湾のIT大手・威盛電子が業務提携するなど、今後、IT産業分野での相互交流はさらに加速するとみられる。

 「沖縄は地理的に恵まれており、IT産業においてもアジアの中心的な存在になっていくべきだ。アジア諸国との人材交流や技術交流がさらに進むことで、沖縄にITのにぎわいをもたらしたい」(仲里氏)

海底ケーブルがもたらす価値

沖縄県情報産業協会や沖縄県産業振興公社が入居する沖縄産業支援センター 沖縄県情報産業協会や沖縄県産業振興公社が入居する沖縄産業支援センター

 現在、沖縄県が主導でシンガポール/香港と東京を結ぶ国際海底ケーブルの陸揚げ計画を進めている。この通信インフラ整備も沖縄IT産業のアジア展開において大切な要素となる。

 ちなみに仲里氏は、この海底ケーブル事業の旗振り役として長年にわたって奔走してきた。NTT出身で、その後、ウィルコム沖縄の社長を務めた経験もある仲里氏にとって、沖縄の通信インフラには人一倍、強い思い入れがあるのだ。

 「これまで沖縄は、電力コストや通信費が高い、通信速度が遅い、優秀なIT人材がいないなど、本土のIT企業などからいろいろと指摘をされてきた。海底ケーブルが沖縄に接続することで、このような課題は解消に向かうだろうし、アジアを見据えた事業戦略を考える企業にとって沖縄は大きな価値をもたらす場所になるはずだ」(仲里氏)

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