x86/x64プロセッサ向けのWindows 10 TPから2週間ほど遅れて、Windows Phone向けのWindow 10 Technical Preview for Phonesが公開された。
Windows 10ではx86/x64プロセッサ向けのWindows 10と、ARMプロセッサ向けのWindows 10 for Phone and Tabletが用意されている。Windows 10は、Windows 8/8.1やWindows RT、Windows Phoneを融合した1つのOSプラットフォームというわけだ。ここで重要になるのが、Universal Appである。
Universal Appベースで開発されたアプリは、Windows 10 for Phoneを使ったスマートフォン、Windows 10を採用したPCでも動作する。画面サイズが異なるデバイスに応じて、アプリ側が自動的にレイアウトを変更したり、メニュー表示などを自動的に調整したりしてくれる。
今後は、Universal Appのフレームワークで開発されたアプリが主流になっていくだろう。スマートフォンではAppleやGoogleの後れを取るMicrosoftにとってUniversal Appは、大きな切り札となるだろう。企業もUniversal Appを開発するだけでPCやタブレット、スマートフォンで動作できるというのは、アプリ開発のコストを低減させ、メンテナンスコストを抑えることができるだろう。
現状のスケジュールでならx86/x64向けのWindows 10が秋頃に完成し、2015年のクリスマスシーズンにはプリインストールされたPCが発売されるだろう。Windows 7以降のOSを利用しているユーザー向けには、1年間は無償でWindows 10へのアップデートを提供すると発表している(Windows Enterpriseは異なる。Windows Proはアップデート可能)。
また、Windows Phone 8.1の後継OSとなるWindows 10 for Phoneは、2015年秋ではなく“2015年のうち”というぐらいだろう。アップデート対象のスマートフォンは「Lumia」(旧Nokia製品)が中心となる。Microsoftはx86/x64 プロセッサ搭載スマートフォンに向けにもWindows 10 for Phoneを開発しているが、まず自社のLumiaブランド(QUALCOMMチップ、ARMプロセッサ)向けに提供する。
タブレットに関しては、非常に微妙な位置づけだ。同社は、Windows 10とWindows 10 for Phones and Tabletsの切り分けをディスプレイサイズ(8インチ)で考えている。8インチ未満は、Windows 10 for Phones and Tabletsが利用され、8インチ以上はWindows 10が利用される。
Windows 10はx86/x64プロセッサのみで、Windows 10 for Phones and TabletsはARMプロセッサがメインになり、x86/x64プロセッサへの対応は状況によってリリースされることになりそうだ。これは、Windows 10 for Phones and Tabletsではデスクトップモードがサポートされないためとなる。x86/x64プロセッサを使ったデバイスではデスクトップアプリケーションの動作が期待できるものの、ディスプレイサイズが8インチ未満のデバイスではデスクトップアプリケーションを使いにくい。小さな画面を対象とするWindows 10 for Phones and Tabletsは、最初からデスクトップアプリケーションを動かさないという同社の判断なのだろう。
こうした状況から「Windows RT」は、Windows 10 for Phones and Tabletsに吸収される形で終わったとみるべきだろう。Microsoftは、Windows RTがWindows 10 for Phones and Tabletsにアップデートできるとは明言しておらず、“Windows 10相当の機能を提供する”としている。Surface 2などのWindows RTデバイスは、Windows 10にアップデートできないようだ。
次回は、MicrosoftのWindows 10以降のOS戦略、企業におけるWindows 10ライセンス、OSのサブスクリプション化などを説明する。
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