スタバファンを支える、コーヒー業界“もう1つ”の第3の波(2/3 ページ)

» 2015年06月23日 08時00分 公開
[岡崎勝己ITmedia]

突発的なシステム負荷増大への対応策としてAWSに着目

 どうすれば打開できるか。野溝氏は「月に数時間ほど発生する突発的な負荷増大に、低コストで対応」を要件にして目を付けたのがクラウド(IaaS)「Amazon Web Service(AWS)」であった。

 クラウド基盤の利用は今回が初。当然、クラウド移行における不安点はいくつか存在した。約7カ月をかけて棚卸しした要件の各項目を検証し、疑問点をつぶしていったという。例えば、以下の項目だ。

既存システムは、本当にAWS上で動くのか

 AWS上に既存の環境を構築して動作検証を実施した。OSの一部変更とアプリやミドルウェアの配置を変更するくらいで、アプリケーション自体の改修なく正常に稼働することが確認できたようだ。

レスポンスに問題はないか

 テスト環境で実際に測定したところ、オンプレミスの方がレスポンスがよいケースもあった。しかしAWSの内部処理に起因するものではなく「原因は外部システムとの通信部分にあった」(野溝氏)ことが検証によって改めて分かった。

クラウドの採用により、障害の切り分けが難しくならないか

 検証作業の過程で、いくつかの突発的な障害はあった。その原因の解析を通じ、障害の原因は「AWS Support」や「CloudWatch」でこれまでより容易に検知できることを把握できた。また、OSや広く利用されているミドルウェアの対応状況についても手厚いサポートが受けられ、障害の切り分けを効率的に行えることも確認できた。

社内で運用できるのか

 同社はネットワークインフラやデータセンターの運用を外部パートナーへ委託し、自社はサービス、アプリケーションに特化して開発と運用することで、迅速なサービスの提供につなげてきた。

 この点、AWSでは新たにインフラ管理の一部も担うことが求められる。同社は(1)運用にまつわる手順書の整備、(2)リファレンスアーキテクチャの作成、(3)変更情報のスクリプトの検知による管理の自動化、などによる取り決めと管理の効率化を図るルールを定めた。

photo 社内で運用できるかの部分は、3つの取り決めを整備し大丈夫と判断

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