毎週3分、情シスドリル コレ1枚で分かる「仮想化の3タイプ」即席!3分で分かるITトレンド

システム資源を抽象化する「仮想化」には、技術的に3つのタイプがあり、それぞれ特長により利用法も異なります。今回はその3タイプをかんたんに解説します。

» 2015年09月07日 07時00分 公開

この連載は

 カップめんを待つ間に、電車の待ち時間に、歯磨きしている間に“いまさら聞けない”ITトレンドが分かっちゃう! 今さら聞けないITの最新トレンドやビジネス戦略を、体系的に整理して分かりやすく解説する連載です。「この用語、案外、分かっているようで分かっていないかも」「IT用語を現場の社員にもっと分かりやすく説明できるようになりたい」――。情シスの皆さんのこんな課題を解決します。


 仮想化とは、物理的な実態とは異なるものの、あたかもその物理的な実態がそこにあるかのように機能させるソフトウェア技術のことです。

コレ1枚で分かる「仮想化の3タイプ」

 仮想化には、次の3つのタイプがあります。

パーティショニング(分割)

 1つのシステム資源を複数の独立した個別の資源として機能させます。

 例えば1台のサーバを、10台の個別に独立したサーバが存在しているかのように機能させる場合がこれに当たります。

 この方法を使えば、能力に余裕のある物理サーバを1ユーザーだけで使うのでなく、見かけ上複数のサーバとして稼働させ、複数のユーザーがそれぞれ自分専用のサーバとして扱うことができます。システム資源を余らせることなく、有効活用できるようになります。

アグリゲーション(集約)

 複数のシステム資源を1つのシステム資源のように機能させます。

 例えば、複数の異なるストレージを1つの大きなストレージに見せかける場合が挙げられます。この機能を使わないで運用しようとすると、ユーザーは複数の別々のストレージの存在を常に意識し、煩雑な操作や設定を行わなければならないでしょう。しかし、この機能のおかげで、そんなことは気にせず、また個々のストレージのメーカーや機種を意識することもなく、1つのストレージとして扱うことができ、大いに利便性が高まります。

エミュレーション(模倣)

 あるシステム資源を異なるシステム資源として機能させます。

 例えば、PC上で、スマートフォンの基本ソフトウェアを稼働させ、スマートフォンに模した画面を表示させることができます。スマートフォンにはない大きな画面とキーボードでスマートフォン同様の操作ができるため、アプリケーション開発やテスト環境の利便性を高められます。

 仮想化というと、「サーバ仮想化」、つまり「パーティショニング(分割)」についてのみ語られることが少なくありませんが、それだけではありません。ユーザーにとっては、物理的な実態はどうであろうと、必要な機能が実現できればいいのです。それをソフトウェアの設定だけで実現しようという技術の総称が仮想化なのです。

 以前紹介した、「SDI(Software Defined Infrastructure)」も、この技術が土台になっています。物理的な実態は、インフラを構成するハードウェアの集まりである「リソースプール」ですが、そこからソフトウェアの設定で必要なインフラ機能を取り出し、構築できる仕組みです。仮想化をパーティショニング(分割)の仕組みと捉えると本質を見失いかねないので、注意が必要です。

著者プロフィル:斎藤昌義

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 日本IBMで営業として大手電気・電子製造業の顧客を担当。1995年に日本IBMを退職し、次代のITビジネス開発と人材育成を支援するネットコマースを設立。代表取締役に就任し、現在に至る。詳しいプロフィルはこちら。最新テクノロジーやビジネスの動向をまとめたプレゼンテーションデータをロイヤリティフリーで提供する「ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー/LiBRA」はこちら


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