大事なのはアラートが“鳴ったあと” IoTを“使いものにする”実証実験富士通フォーラム2017(1/2 ページ)

センサーが鳴っても対応できなければ意味がない――。そんなIoTの課題を解決しようと実証実験を行っている企業がある。その方法とは。

» 2017年06月21日 07時00分 公開
[後藤祥子ITmedia]
Photo スタディスト代表取締役の鈴木悟史氏

 取り付けたセンサーが異常を検知するとアラートを出して知らせる――。IoTの世界では今、こうした予兆検知の仕組みが注目を集めており、製造や防災、施設管理、農業などのさまざまな分野で活用の機運が高まっている。

 しかし、「アラートが飛んできても、実はそのあとが問題」――。そう話すのが、マニュアル作成・共有プラットフォーム、「Teachme Biz」を提供するスタディスト代表取締役の鈴木悟史氏だ。いくらアラートが鳴っても対応できる人がいなければ問題は解決しない。少子高齢化が進む日本では、そこが課題になっていると同氏は指摘する。

 同社の顧客であるビルメンテナンス会社、大成もそんな課題に悩んでいた。ビルのメンテナンスは現状、施設に問題が起こってから依頼されることがほとんどだが、ビルオーナーの多くは「“壊れて損害が起こる前”に予兆をつかんで対処したい」と考えているという。

Photo ビルメンテナンス業界が抱える課題

 予兆を検知するためには、メンテナンススタッフを定期巡回させるのが早道だが、人件費がかかる上、そもそも人手が足りない現場では対応が難しい。現状では管理能力が高いスタッフが1つのビルにかかりきりになり、新しいビルが建っても対応できない状況がある。

 この問題を解消するのに役立つのが、センサーを使った予兆検知だ。IoTが注目を集めている昨今、業務現場にセンサーを設置し、異常を検知するとメールやメッセージで通知するサービスが幾つも登場している。確かに便利なソリューションだが、鈴木氏は、「異常を検知しても、その状況を解消できなければ根本的な解決にはならない」と指摘する。

 問題を解決するためには、アラートが鳴った後にすぐ対応する方法が分かればいい。さらに対処するためのマニュアルが誰にでも分かるものであれば、経験が少ないスタッフでも対応できる――。そんなニーズからスタートしたのが、スタディストと富士通、大成の3社共同による、センサーとグラフィカルなマニュアルを使ったビルメンテナンスシステムの実証実験だ。

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