旅行会社のH.I.S.、顧客サポートのチャットボットを開始 人工知能「SENSY」を活用

カラフル・ボードが、ディープラーニングで利用者の“感性”を学ぶAIを活用したチャットボットサービス「SENSY BOT for Biz」を発表。H.I.S.がWebサイトなどの顧客サポートに導入した。

» 2017年07月26日 11時30分 公開
[金澤雅子ITmedia]

 カラフル・ボードは7月25日、利用者の“感性(センス)”を学習する人工知能「SENSY」を活用した新たなチャットボットサービス「SENSY BOT for Biz」を発表した。最初の導入先となったエイチ・アイ・エス(H.I.S.)と提携し、サービスを開始する。

 SENSYは、自然言語処理や画像解析などを組み合わせたディープラーニングにより、利用者の嗜好(しこう)性を解析する。2014年11月にファッションのコーディネートなどを提案してくれるアプリとしてリリースされ、現在では、食品や美容、健康用品などの分野へもチャットボットサービスを展開。マーケティングや需要予測、店舗接客、EC接客、カスタマーサポートなど、幅広いソリューションを提供している。

 「SENSY BOT for Biz」は、LINEやFacebookなどのメッセージングアプリに加え、WebウィジェットとしてECサイトなどにも導入できるチャットボット。単純な対話だけでなく、SENSYが持つさまざまな機能と組み合わせて、高度なWeb接客を実現できるという。

 例えば、従来のチャットボットでは利用者の全ての質問に答えることは困難だったが、SENSY BOT for Bizでは、チャットボットが質問に回答できない場合、サポート担当のオペレーターに自動的にエスカレーションし、オペレーターが会話を引き継ぐ機能を搭載。チャットボットとオペレーターのシームレスな連携により、利用者にストレスを与えることを減らせるとしている。

 また、従来はチャットボットの継続的な学習のために技術者が必要で、運用の手間やコストが増えることが導入のボトルネックだったが、SENSY BOT for Bizでは、オペレーターが簡単な操作でチャットボットを育成できる機能を提供。運用コストを抑え、スピーディーな改善サイクルが可能になった。同社開発の接客エンジンと組み合わせることで、Web上での接客も可能に。利用者との会話から感性データを蓄積し、マーケティング、需要予測、商品開発へ活用できるという。

Photo H.I.S.サイトでのチャットボット利用イメージ

 今回、H.I.S.は、SENSY BOT for Bizを導入し、FAQサイトの内容を学習させたAIチャットボット「おおじろう」と、サポート担当のオペレーターが回答するチャットシステム「SENSY CS CHATDESK」を構築。2017年7月24日に、Webサイトとfacebookページでチャットボットによる顧客サポートサービスを開始した。

 H.I.S.では、従来、オペレーターによるチャットサポートは受付時間が限られていることや、チャットサポートへの問い合わせが増加していることから、無人で自動応答できるチャットボットサービスによる効率化を必要としてしていた。チャットボットとオペレーターによる対応を融合させた新システムにより、24時間365日の顧客サポート体制を実現できたと説明。将来的には、SENSYの活用を進め、利用者個々人のニーズや好みを分析し、よりパーソナライズされた接客の形を目指すという。

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