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» 2018年01月09日 13時00分 公開

月の半分以上がExcel作業 そんな住友林業のバックオフィスをRPAで変えた情シスたち (1/2)

「技術が進化しているのに、頭を使わない作業が増えるのはなぜなのか」――。そんな住友林業の課題を解決したのは、情シスパワーとRPAだった。

[後藤祥子, 下玉利尚明,ITmedia]
Photo 住友林業情報システムのICTビジネスサービス部でシニアマネージャーを務める成田裕一さん

 「技術が進化しているのに、頭を使わない作業が増えるのはなぜなのか」――。そう思ったことはないだろうか。例えば、ある資料から別の資料に数値をコピー&ペーストして転記したり、Excelにひたすら数字を入力したりするような作業に追われ、いつまでたっても本来、やるべき仕事に取り掛かれない。このままでは、厳しい競争に勝ち残っていけないのではないか――。

 4年前、ある出来事がきっかけで、そんな危機感を抱いたのが、住友林業情報システムのICTビジネスサービス部でシニアマネージャーを務める成田裕一さんだ。

 解決方法を探していた成田さんが2年前、IT展示会で出会ったのがRPA テクノロジーズの「BizRobo!」。当時、RPAの可能性に気付く人が少ない中、業務の効率化につながると確信し、試行錯誤を繰り返しながら“即効性がある形”での導入を成功させたという。

 「早く、安く、目に見える形で効率化を実現すること」を目指した成田さんは、どのような方法で社内にRPAを浸透させたのか。その過程を追った。

月の半分以上をExcel作業に費やすのはおかしい

 成田さんがバックオフィス業務の効率化について真剣に考えるようになったのは、2013年の出来事がきっかけだった。

 全社でMicrosoft Officeをバージョンアップすることになった時、互換性の問題でExcelファイルが使えなくなる可能性が浮上した。その際、成田さんの部署では、事前に重要なワークシートが新たな環境で動くかどうかチェックし、動かないときには修正するというサービスを社内向けに展開したという。

 その時、集まったワークシートはなんと5000超。「みんな、こんなにExcelを使ってるのか」と驚いた成田さんが、本社事務部門のスタッフにどんな使い方をしているか聞いてみると、予想以上に多くの時間をExcel作業に費やしていることが分かった。

 「月の半分以上がExcel仕事で、2割ぐらいが基幹システム関連、あとは文書の整理をやっていると言うんです。事務部門は多くがそんな配分で仕事をしており、作業に追われて考える時間がとれなくなっていることが分かりました」(成田さん)

 ITを使うようになって業務は進化しているのに、その割には仕事が減らず、むしろ新たに発生するITがらみのバックオフィス作業は増えている。にもかかわらず、コストセンターといわれる部門は、なかなか人を増やしてもらえない。ここを省力化してあげないと、本筋ではない仕事に追われて“本来やるべき仕事”に専念できなくなってしまう――。

 そう思った成田さんは、IT部門の中にITを使った業務を受けるチームを立ち上げ、住友林業本社のバックオフィス業務の一部を引き取ることにした。

 しかし、引き取るだけでは、作業を別部署に移したにすぎない。業務を効率化するためのいい方法はないかと模索しているときに出会ったのがRPAだった。

 「展示会に行ってリーフレットを見た瞬間に、『これ、絶対買おう、絶対にうちの会社に入れよう』と思いました」(成田さん)

RPAのリーフレットを見た瞬間、「やれる」と確信

 成田さんが興味を持ったのは、このソリューションが「人が行うPC操作を自動化し、サーバ型で動かせる」点だった。当時、PC操作を自動化するソリューションとして、RDA(Robotic Desktop Automation)とよばれるソフトはあったが、個人での利用が前提となっており、部門ごとの効率化には向かなかった。しかしサーバ型のRPAなら、自動化した作業を他の部門や会社全体で使うことができる。しかも、リーフレットには「ノンプログラミングでロボットを開発できる」と書いてあり、すぐにでも試してみたくなった。

 「当時、私がやっている仕事だけでも、自動化できたらいいなぁと思う作業が山ほどありました。社内には同じように思っている人が何千人もいるはずで、これができれば社内は劇的に変わるはずだと思ったのです」(同)

 こんな風にすぐ利用イメージが浮かんだのは、成田さんが以前、開発部門に所属し、基幹システムの開発を手掛けていたことも関係している。

 「会計システムや商社部門の輸入関連のシステム、住宅関連のシステムを開発していたので、基幹システムのどんなデータを現場がExcelに転記して使っているかが、ある程度分かっていたのです。どこをRPAで自動化すればいいか、ピンときました」(同)

RPAへの投資、どう説得したのか

 しかし、いくらRPAが便利だといっても、利益を生まない間接部門のための投資は、なかなか承認されないのが実情だ。しかも検討していた製品は高額で、導入にはそれなりのコストがかかる。

 そこで成田さんはまず、社内を説得するために次のようなロードマップを提示した。

  • まずは、社内の生産性を上げる。それだけでも費用は十分にペイできる
  • 社内実践でノウハウを蓄積した後には、グループ会社に展開しグループ全体の生産性を高める
  • 最終的には、RPAで作ったロボットを外販する。これで収益もあげられる

 もちろん、失敗したときのことも考えて、もう1つの説得材料を用意していた。導入に当たってはRPA製品を購入するのではなく、レンタル契約にすると提案したのだ。

 「買うと投資になってしまいますが、レンタルだと分割払いになって経費で落とせます。効果が出なかったらすぐやめられるので、まずは1年間やらせてくださいと説得しました」(成田さん)

 なお、導入に当たっては、安価な試用版ではなくフルパッケージ版を採用した。その理由は、検証の際に“RPAでできることを最大限、試したかった”からだ。「試用版だと機能が制限され、できないことが増えてしまうことがあります。そのせいで“RPAでは○○ができない”と不当な評価をされることは避けたかったのです」(同)

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