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» 2018年04月02日 07時00分 公開

仕事時間の半分が社員のITサポート――そんな大京情シスの働き方を変えたAIチャットbot (1/3)

情シスが本業に専念できるようにするために導入したAIチャットbotは、現場の働き方を変えただけで終わらなかった。

[やつづかえり,ITmedia]

 「パスワードを忘れた」「ネットにつながらない」「プリンタの紙が詰まった」「申請のやり方が分からない」「イントラネットに入れない」――。こうしたPCや業務システムに関する社員からの問い合わせを“いかに効率よくさばくか”は、大企業の情報システム部門に共通する課題だ。

 「ライオンズマンション」で知られる大手不動産会社、大京のグループ情報システム部も、そんな悩みを抱えていた1社だ。「ヘルプデスク機能をアウトソーシングしているにもかかわらず、情報システム部の社員に問い合わせが入り、時間を取られている」という課題を抱えていた同社が解決策として導入したのが、「IBM Watson」をベースとしたAIチャットbot「hitTO」だった。

 大京のグループ情報システム部で担当部長を務める川口宏和さんは、「AI活用の第一歩としても意味があった」という。導入の苦労やその後の変化について、川口さんとシステム開発課 係長の吉田倫子さんに聞いた。

Photo 「ライオンズマンション」で知られる大手不動産会社の大京

仕事時間の半分が「社員のITサポート」のスタッフも

Photo 大京のグループ情報システム部で担当部長を務める川口宏和さん

 hitTOの導入前、同社がアウトソースするITヘルプデスクには月1000〜1500件の問い合わせが入っていた。しかし、ヘルプデスクではなくIT部門のメンバーが受ける問い合わせも相当数に上っていたと吉田さんは振り返る。「面識がある相手の方が聞きやすい」「問い合わせが集中してヘルプデスクの電話がつながらない」といった理由でIT部門の内線にかけてくる人も多いのだ。

 「社員の仕事ぶりを見ていると、問い合わせの電話に対応している時間が多い人では5割くらいと、かなりの時間を占めていました」(川口さん)

 問い合わせの多くが、「パスワードが分からない」「PCにログインできない」「シンクライアントPCが動かない」といったもの。質問者にとっては、「解決しなければ仕事が止まってしまう」という一大事だが、定型的な回答で解決に至ることが多い内容だ。だからこそ、そこに貴重な人手が費やされるのはもったいない。

 同社はすでに5〜6年前から残業時間の削減に取り組み、業界の中でも労働時間は短い方だという。しかし、人手不足をはじめとする事業環境はそれ以上のスピードで変化しており、さらなる生産性の向上も求められている。

 また、2016 年に発表した中期経営計画で同社は取り組みテーマの1つに「研究開発の推進」を掲げており、IT部門にはAI、IoT、ビッグデータなどの先端分野への取り組みが期待されている。業務改善と新技術を使った取り組みへのチャレンジという2つの課題への対応策として浮上したのが、ヘルプデスク機能を担うAIチャットbotだった。

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