CEATEC JAPAN 2012
“蛾の目”が大画面テレビを進化させる、映り込みを抑えるシャープの「モスアイパネル」とは?
シャープブースで「ICC LED-TV」とともに注目を集めているのが、「モスアイパネル」の展示だ。パネルといっても液晶パネルの新技術ではなく、ポイントは画面表面にはるシート。映り込みを防ぎつつ、グレアパネル(光沢処理)に近い色再現や深い黒を再現できるという。つまり、従来の低反射パネルと光沢パネルの“いいところどり”の性質を持っている。
モスアイとは、その名の通り“蛾の目”の構造を研究したネイチャーテクノロジーの1つで、今回はシャープと大日本印刷が開発した技術を採用している。その表面には約200ナノメートルピッチ(間隔)で、高さ200ナノメートルほどの透明な突起が無数に並んでいるらしい(もちろん見えません)。
「水面などを考えると分かりやすいが、光の反射は屈折率が急激に変わる“界面”で起こる。光の波長(380ナノメートル)より短い間隔で透明な突起が並んでいると、ゆるやかに反射率が変わっていくために反射しにくい」(シャープ)。
逆にいえば、外光を反射させずに無駄なく取り込める仕組みといえる。このため、蛾は夜中でも空を飛べるのだという。
液晶テレビの場合は、表面のガラスだけではなく、その奥にも液晶パネルなどの“界面”が存在するため、完全に外光反射を排除することはできない。しかし、表面だけをモスアイにしただけでも効果は歴然。展示機では、3等分した画面の右側に従来の低反射処理、中央にモスアイ、左側にグレア処理を施していたが、中央だけは映り込みが少なく、黒も沈んで見えた。映り込みはないが黒が締まらない右側、黒は沈み込んでいるが外の景色が映り込んでいる左側と比べると、違いは一目瞭然(りょうぜん)だろう。
ガラスケースの半分だけにモスアイ処理を施した展示では、中にあるグラスの見え方が違うことに加え、半分だけに自分の姿が映り込んで見えるのが面白い。なお、このケースはガラスの裏と表の両方にモスアイ処理を施し、効果をさらにアップしたもの。博物館や美術館での採用も期待される。
大画面テレビにとって、映り込みは画面を見にくくする最大の敵だ。他社がコントラスト性能重視でグレアパネルの採用を広げていく中、シャープだけは頑なに低反射パネルを使ってきた理由は、「テレビは視聴環境に依存しないようにするべき。明るい部屋でも安心して見られなければならない」から。そのため他社製品より不利に見られることも多かったのだが、映り込みが少なくコントラスト性能も高くなるモスアイパネルは大きな武器になりそうだ。
シャープブースにはモスアイパネルを搭載した60V型、70V型、80V型の「AQUOSクアトロン3D」が並んでおり、すぐにでも製品として登場しそうな完成度を見せている。ただ、製品化の時期については「未定」と話していた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
AI学習への利用拒否をrobots.txtで一括指定へ OpenAIやGoogleなどが対応表明
-
2
総務省、GMO攻撃者サイトの「ブロッキング」を通信各社に要請 報道
-
3
日本郵政「ゆうID」不正ログイン、他社で流出したパスワード使うリスト攻撃か……2段階認証必須に
-
4
楽天カード、本人認証をワンタイムパスワードに統一 27年2月から順次
-
5
「ITノウハウ持つ人材少なく」 PHP脆弱性問題、31市町村でサイト一時停止継続
-
6
松屋のアプリに不正アクセス、約238万件の個人情報が漏えい 停止中の補償も予定
-
7
「低評価でキャラが悲しげな目」 モスバーガーのアンケートがSNSで話題 運営会社に狙いを聞いた
-
8
Binanceの約1兆円流出、北朝鮮ハッカー集団「TraderTraitor」の犯行か
-
9
「PayPay連携の銀行から、お金全部盗られた」被害報告……原因と対策は? PayPayに聞いた
-
10
グッスマ、顧客の2800人のカード番号全16桁+セキュリティコードなど流出か 下4桁は40万枚分
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR