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» 2013年02月28日 14時33分 UPDATE

“森の声”を聴くスピーカー、JVCケンウッド「Forest Notes」

JVCケンウッドから、新コンセプトのスピーカー「Forest Notes」(フォレストノーツ)が登場した。ウッドコーンスピーカーで知られる同社だが、今度は木そのもの?

[芹澤隆徳,ITmedia]

 JVCケンウッドから、新コンセプトのスピーカー「Forest Notes」(フォレストノーツ)が登場した。一見、木製オブジェにしかみえない木枠から、鳥のさえずりや小川のせせらぎ、虫の声といった自然の音が流れ出す。すべて実際の森からリアルタイムに送られてくる“森の声”だという。「刻々と表情を変える四季折々の森の声。Forest Notesは、AV機器という枠にとどまらない、環境そのものを楽しむ製品」(同社)。

ts_forest01.jpgts_forest020.jpg 「Forest Notes」(フォレストノーツ)と「Forest Notes mini」(フォレストノーツ ミニ)の2種類がある

 Forest Notesは、国産栗材のキャビネットにエキサイター(振動素子)を搭載し、キャビネット全体を振動させる“振動スピーカー”だ。Bluetoothレシーバーユニットを搭載し、スマートフォンなどを介して同社が提供する「Forest Notes ライブ配信サービス」から“森の声”を再生する。

ts_forest010.jpgts_forest011.jpg インターネット経由で都会にいながら“森の声”を楽しめる

 ケンウッドデザインでForest Notesを担当した柳沼広紀氏によると、デザインコンセプトは「森への入り口」。Forest Notesには2つのサイズがあり、大きいもの(YG-FA30HV)は体積がちょうど30リットルになるよう設計されている。「これは日本の森林にある1本の木が一日に作り出す酸素の量と同じ。木の持つ驚くべき能力を視覚化することで、樹木への感謝の気持ちを持ってほしいという願いを込めた」。

ts_forest04.jpgts_forest05.jpgts_forest06.jpg ケンウッドデザインの柳沼広紀氏とForest Notesのデザインコンセプト

 キャビネットの製造を担当するのは、飛騨高山に本拠を置く家具メーカー、オークヴィレッジ。工芸品的な物作りを得意とし、熟練の職人が材料の選定から乾燥、加工、組み立て、仕上げまでの工程をすべて手作業で行うという。例えばキャビネットには釘やネジは一切使用せず(Bluetoothユニットの組み付けは除く)、YG-FA30HVは飛騨高山の伝統的な技法「蟻型千切留組」(ありがたちぎりとめぐみ)で接合している。小さいほうの「YG-FA2HV」は、通称“かんざし”と呼ばれる「挽込留接」(ひきこみとめつぎ)により、小さなキャビネットながら接着面積を大きくして強度を高めた。

 表面には天然素材の亜麻仁油(あまにゆ)を主成分とする天然オイルをしみこませ、拭き上げ仕上げを施した。自然の木肌を生かしながら、しっとりとした風合いと心地よい肌触りが得られたという。木材の表層に浸透する塗装のため、部分的にはがれてしまう心配もない。

ts_forest012.jpgts_forest013.jpg 左が「蟻型千切留組」(ありがたちぎりとめぐみ)、右は通称“かんざし”と呼ばれる「挽込留接」(ひきこみとめつぎ)の技法

 もちろん、音響面にも工夫がある。一見、平板の組み合わせに見えるForest Notesのキャビネットだが、実はすべての板が内側に盛り上がったかまぼこ状で、全体としてホーン型を構成している。国産栗材を選択したのも、実際にさまざまな木材を試して“森の声”に適した素材を選んだ結果だ。ただし、一般的な音楽の再生にはあまり適さないという。

ts_forest014.jpgts_forest015.jpg 内側はよく見るとホーン型の形状になっている

 大きなYG-FA30HVは左右の側板に1つずつエキサイターを搭載して全体を振動させる仕組みだ。一方のYG-FA2HVは右の側板にのみエキサイターを備えている。底面に仕込んだBluetoothレシーバーはリチウムイオンバッテリーを内蔵し、YG-FA2HVで約10時間、YG-FA30HVなら約7時間の連続駆動が可能だ。常設用にACアダプターも付属する。

ts_forest016.jpgts_forest017.jpg YG-FA2HVは背面にBluetoothレシーバーを装着している。充電はUSBケーブルで行う(左)。オークヴィレッジの稲本正代表も登壇。森の声と木の香りによる癒やし効果を語った

 価格はいずれもオープンプライスで、YG-FA30HVは実売32万円前後、UG-FA2Hは6万円前後になる見込みだ。価格差が大きい理由について柳沼氏は、「栗の木は、大きな面積の木材をとれる部分が少なく、加工も大変になるため」と説明している。発売は3月中旬になる予定だ。

 同時にスタートする“森の声”配信サービスは、岐阜県・飛騨高山と宮崎県・諸塚村の森に設置したマイクからライブ配信を行う。ライブ中継は月額課金制で、320kbpsの高音質プランが980円/月、128kbpsの標準プランは490円/月となっている(加入月は無料)。配信申し込みは、3月中旬に開設される「Forest Notes専用サイト」(http://www.forestnotes.jp/)で受け付ける予定だ。なお、専用サイトでは各地の“森の声”アーカイブも用意するほか、マイクを設置する森を増やしていくことも検討している。

ts_forest07.jpgts_forest08.jpgts_forest09.jpg マイクの設置場所


ts_forest02.jpgts_forest03.jpg JVCケンウッド、ホーム&モバイル事業グループ融合事業推進部の林和喜部長

 発表会であいさつに立ったJVCケンウッド、ホーム&モバイル事業グループ融合事業推進部の林和喜部長は、Forest Notesを新しいコンセプトの“センスウェア”と呼ぶ。センスウェアとは、「ハードウェアではなく、ソフトウェアでもない。自然の素晴らしさを感じたり、生き物や地球を大切にしたくなる仕掛けを持つツール」。同社はネットワークを活用して感性を伝えるサービスを新規事業として育てていく方針で、第1弾となるForest Notesでは、一般コンシューマーのほか、公共施設や医療機関、環境保護を推進する企業などに訴求していく構え。林氏は、「地球との対話をドライブする事業に挑戦する」と胸を張った。

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