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「音楽とホビーの融合」 グッスマの変形可動式“トランスフォーミング・ヘッドフォン”「THP-01」が生まれたワケ東亜重工モデルもお披露目

» 2015年07月15日 21時10分 公開
[村上万純ITmedia]

 グッドスマイルカンパニーは7月15日、変形可動式の“トランスフォーミング・ヘッドフォン”「THP-01」を代官山UNICEでお披露目した。米国の人気ロックグループ「LINKIN PARK」のメンバー、Mr.Hahn氏とグッドスマイルカンパニーが手がけるライフスタイルブランド「toon WORKSHOP」の第1弾製品で、機構と音響設計、製造はフォステクスが担当している。

photo 左からtoon WORKSHOPのPVの企画・製作を担当したライゾマティクス代表 齋藤精一氏、toon WORKSHOPのクリエイティブディレクター メチクロ氏、toon WORKSHOP ゼネラルプロデューサーを担当するLINKIN PARKのMr. Hahn氏、グッドスマイルカンパニーの安藝貴範社長

 2015年2月に発表され、先日正式に27日の発売がアナウンスされたため、オーディオファンの間で再度話題になった(関連記事)。価格は4万5000円(税別)で、「toon WORKSHOP」公式サイトのほか、「代官山 蔦屋書店」「e☆イヤホン」各店および「e☆イヤホン」のECサイトで販売される。

photo 「THP-01」
photo ヘッドバンドの端が伸縮する
photo 動かすとカチッカチッと音がする
photo 完全に折り畳める

 7月15日に開催された新製品発表会では、グッドスマイルカンパニーの安藝貴範社長、toon WORKSHOP ゼネラルプロデューサーを担当するLINKIN PARKのMr. Hahn氏、toon WORKSHOPのクリエイティブディレクター メチクロ氏、toon WORKSHOPのPVの企画・製作を担当したライゾマティクス代表 齋藤精一氏が登壇した。

photo 齋藤氏がTHP-01を装着

「これまでにないまったく新しいヘッドフォン」

 THP-01は256以上の精密部品で構成されており、変形するギミックを備えるのが最大の特徴だ。通常のヘッドフォンのような形から、本体全体を完全に折りたたんだような形へと大きく姿を変える。

photo 安藝社長

 2006年ごろに安藝社長とMr.Hahn氏が米・ロサンゼルスで出会ったことがきっかけで生まれた製品で、「日本のカルチャーが好きなMr.Hahn氏と何かクリエイティブなことをやりたいと話したことからプロジェクトが始まった」と安藝社長は説明する。

 「音楽とホビーの融合」という観点からヘッドフォンを作ることになり、Mr.Hahn氏が「機動戦士ガンダム」などのロボットアニメが好きだったこともあり、変形するというギミックを取り入れることになった。

 だが、当初イメージしたデザインやCADで描いたモデルを実際に立体化すると思うとおりに動かず、会場には試行錯誤の苦労がうかがえるさまざまなプロトタイプが展示されていた。


photo プロトタイプを作って試行錯誤を重ねてきた

 メチクロ氏は、「思わずカチャカチャと手を動かしてしまうような、人間の本能に訴えるような素晴らしいフィーリングを実現するヘッドフォンを目指した。3種の樹脂や5種の金属を使うなど、これまでのヘッドフォンとはまったく異なる新しいものに仕上がっている」と話す。

 イヤーパッド部分はレーザーメッシュ加工を施した高級人工皮革を使っており、内圧調整を重ねた低反発ウレタンと合わせて付け心地を高めた。ドライバーユニットは40ミリ径で、Mr.Hahnのディレクションのもと、ロサンゼルスのスタジオでチューニングを行った。

 メチクロ氏によると、「現代音楽のトレンドである『ベース』『キック』などの低音を音圧に依存せずきれいに出すことができ、パワフルなサウンドを聴いていても耳が痛くならない」という。Mr. Hahn氏は「さまざまなサウンドが入っているEDM(Electronic Dance Music)を聴くのがおすすめ」と話す。

 耐熱・耐油性に優れているというTRSiV製ヘッドバンドは、通気性とグリップ力を兼ね備えた極小エンボス・モールドで、メチクロ氏は「ヘッドフォンとしてやってはいけない構成をあえていろいろやってみたが、それでもヘッドバンドは特に高い強度に仕上がった」と話す。ヘッドアーチ部分も、ガラス繊維入りのPA6(ナイロン6)+GF素材で、ねじれや曲げに強い。

photo ラバー素材のヘッドバンド

 そのほか、PVD-MIM加工を施したSUS316L(高耐食ステンレス鋼)製のリンクアームや、SUS304-CSP(ばね用ステンレス鋼帯)/POM(ポリオキシメチレン)/ナイロン6+GF製のスライドユニットなどを採用している。

 PC/ABS樹脂の外装パーツは、ネジで固定されており、脱着が可能。会場にもさまざまなクリエイターとコラボしたモデルが展示されていたが、今後は3Dデータのオープンソース化によるMakersコラボレーションも予定しているという。

 なお、発売日は未定だが、漫画家・弐瓶勉作品に登場する企業「東亜重工」とのコラボモデルという設定の「東亜重工製通信用端末・二零式[白]」や「東亜重工製通信用端末・二零式[黒]」、コラージュアーティスト・河村康輔が大友克洋作品をコラージュしたグラフィックをアレンジした「RE:construct Ver.1」(いずれも5万5000円)といったTHP-01のバリエーションモデルもすでに正式発表されている。

photo 東亜重工製通信用端末・二零式[黒]
photo 東亜重工製通信用端末・二零式[白]

 安藝社長は「ぜひカチャカチャと手を動かして改造する楽しさを味わってほしい。ただし、外装パーツを外すと保証外になりますので」と笑顔で話した。

photophoto 齋藤氏による3Dプリントカスタムモデル(左)。音楽プロデューサーkz氏によるカスタムモデル(右)
photophoto RE:construct Ver.1(左)。造形家 竹谷隆之氏によるオリジナルペイントカスタムモデル(右)

 再生周波数特性は20〜2万Hz、インピーダンスは30オーム、感度は96dB、最大入力は100ミリワット。OFC+銀メッキ仕様のケーブルの長さは1.2メートル。3.5ミリステレオミニプラグを備えており、アクセサリーとして標準プラグ変換アダプターを付属する。ケーブルはL/Rのハウジングいずれにも取り付け可能で、リケーブルにも対応する。TPE(熱可塑性エラストマー)とナイロンメッシュ被膜でねじれや断線にも強くなっている。

photo ケーブルはねじれや断線に強い

 また、発表会で上映されたPVには、匿名掲示板「2ちゃんねる」の創設者であるひろゆき氏や、「AKIRA」などの作品で知られる漫画家・映画監督の大友克洋氏など、日本を代表する有名クリエイターたちが多数出演しており、会場をわかせた。

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