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「花とハナ −My Flowers & My Cat−」「The Best of Y.Aoyagi」写真展

» 2016年04月05日 06時00分 公開
[井上輝一ITmedia]

 さまざまな「写真展」を随時案内していく本コーナー。リコーイメージングスクエア新宿で、2016年4月6日から開催する青柳陽一写真展「花とハナ −My Flowers & My Cat−」「The Best of Y.Aoyagi」を案内する。

青柳陽一写真展「花とハナ −My Flowers & My Cat−」 ©青柳陽一

「花とハナ −My Flowers & My Cat−」(ギャラリーI)
花は、伊達市梁川町の山奥から持ち込まれた野生の花々と、平泉中禅寺蓮(800余年前)の子孫。全て黒バックとして、ストロボ光線3灯を絞り、反射、拡散させて撮影。
ハナ(猫)は、丁度デジタルカメラの黎明期の2004年4月から撮影した作品。
「花とハナ」全て、デジタルカメラで撮影したカラー作品約50点で構成。

「The Best of Y.Aoyagi」(ギャラリーII)
未発表の麻田奈美、開高健「河は眠らない」、「世界の道から」、「世界の美女」等を、The Best of Y.Aoyagi作品、カラー・モノクロ約50点で構成。

作品コメント

【ギャラリーI】
 秋山庄太郎師から、「君も、何時か花を撮るだろう」と言われ続けた。その頃、20数年前は想像もしなかった花々だし、名前すら知らなかった。2004年妻が病に倒れた際、東京のスタジオを畳んで故郷の伊達市に帰って来て、さ〜て何を撮ろうかと考えた。そんな時、知り合いの椎茸ジッチこと、佐々木清さんから妻のお見舞いにと、「すかし百合」と言う野百合が届いた。余りの原色に近い強烈な橙色が、「私を撮って!」と言っている様だった。撮るのなら、黒バックでと即座に決定。以後、清さんから届く花々を撮り続けた。特に珍しいのが、「ひとり静」と「二人静」、深山木漏れ日の中にひっそり咲くと言う。しかし、採取してから1時間は掛かる道中、届く頃花は息絶え絶えになる。桑折町の「金剛水」と言うミネラルウオーターに活けて見たら、なんと早朝首を持ち上げた。一番気難しかったのが中禅寺蓮。800年前の平泉中禅寺蓮が、隣町の国見町に咲いていた。「これを撮りたい」と蕾で持って来て貰い、花弁が開くまで10時間余を費やした。これ等全て、PENTAX 645D&645Z+90mm&120mmマクロを装着して撮影。トキストロボ3灯を、自作のスヌートやグリッドで光線をコントロールして撮影した。
ハナは、2004年妻が倒れて入院した4月、長女が品川八山橋下公園で泣き騒ぐ子猫を拾い、私への土産。目が開かない程目ヤニでダメージを受けていたが、獣医の健闘で治癒。
以後、私とふたりで静かに過ごす日が続いた。
早朝花を撮影する時、必ず私の横に侍り見る。
シャワーも嫌がらず私のベッドに潜り込み、まるで私の子供の様に育て上げ、2016年4月で12才となる。私の寂寥落莫を分かる様でもあり、私には居なくてはならない猫となった。
デジタルカメラの進歩と共に撮ったハナである。2004年4月から撮影したが、丁度デジタルカメラの黎明期。この頃のカメラ、解像度も悪く大きくプリント不可能なデータである。撮影したデジタルカメラは全てペンタックスで、10数機種を使用した。

【ギャラリーII】
◎麻田奈美
 1972年母親に連れられて、私の前に現れた少女。
物静かで、何処にでも居る様な子だった。
然し、脱げば日本中の男子が仰天したボディーの持ち主。
毎回平凡パンチに掲載したが、常に100万部以上を増刷、林檎の号は145万余を増刷。
6年間撮影したが、過去に5冊、加えて今回の全集で5冊、全10冊上梓。一人の女性、一人の写真家の作品では、恐らく世界記録であろう。
◎開高健
 1984年6月アラスカで、動画「河は眠らない」文芸春秋刊を企画構成演出。
この時、スチール写真も撮った。開高健珠玉の言葉に、映像を入れ込む作業が楽しかった。
その言葉で、フォトエッセイも出来上がったが、ここではその一部を展示する。
彼の声で、人生を、酒を、女を、自然を、鮭の生と死を語る唯一の映像化である。
◎パジェロで走った「世界の道から」
 1995年、三菱自動車工業株式会社に企画を出し、サンデー毎日連載と決定。
以後、現地のパジェロでその国の道を走り、観光地はほぼ敬遠しながら、約2年間「世界の道」を撮った。
サンデー毎日の読者投票では、福島伊達の桃が最高値を記録したから面白い。
◎「世界の美女」
 1969年「アメリカンガールズ」を霞町のペンタックスギャラリーで開催した。
平凡パンチに連載したら、「サントリーから次は何処の国の子を撮る?」と聞かれ、「ヨーロピアンガールズ」と答えた。これが1970年のサントリー洋酒カレンダーとなった。以後、航空会社の仕事の合間に世界中を飛び回り、余った日々を美女の撮影に充てた。
多分、数百人は撮影したが、やはりカリオカが別格、世界最高の美女達がリオ・デ・ジャネイロに居た。(注:カリオカとは、リオ生まれリオ育ちを言う)

青柳陽一

作家プロフィール
日本広告写真家協会会員、写真家、演出家
1938年伊達市保原町生まれ、中高は広島修道学園を卒業。多摩美の芸術学園写真学科入学と同時に、杵島隆師に2年間師事。以後フリーとなり、現在まで50数年フリーランスを通して来た。第一回APAで奨励賞を受賞。
仕事は広告写真で主に車を撮影していたが、1968年銀座フジフォトサロンで「マイ・ガールズ」を発表。「アメリカン・ガールズ」「ヨーロピアン・ガールズ」「カリオカ」「ラテンアメリカン・ガールズ」「アラスカに舞う」「秋山庄太郎の世界」等々の個展開催。
1968年以後、平凡パンチ契約となりヌードを発表。1972年麻田奈美を撮影し、これが時の平凡パンチで大ブレーク、掲載誌は100万部以上を増刷した。現在まで、開高健「河は眠らない」文芸春秋刊、「秋山庄太郎の世界」◎男と女◎花の四季、VIDEO日本カメラ、「世界の道から」三菱自動車工業、寛仁親王殿下妃信子殿下「思い出のさきに いつも家庭料理」マガジンハウス、「麻田奈美・青春の記憶」平凡出版、「麻田奈美全集」全五巻アスペクト出版と、現在まで10数冊写真集と書籍を上梓。現在、伊達市保原町在住。

使用機材:PENTAX 645D、645Z、FA645 MACRO 120mmF4、P67 ソフト120mmF3.5、D FA645 MACRO 90mmF2.8ED AW SRほか

写真展の詳細

名称 「花とハナ −My Flowers & My Cat−」「The Best of Y.Aoyagi」
開催期間 2016年4月6日(水)〜4月18日(月)
開館時間 10時30分〜18時30分(最終日16時終了)
定休日 火曜
入場 無料
会場 リコーイメージングスクエア新宿(ペンタックスフォーラム) ギャラリーI&II

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