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ソシャゲ化するキッズゲームと“課金予備軍”の子供たちもうやめて母のサイフはゼロよ

» 2016年05月03日 06時00分 公開
[増村みかみITmedia]
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 ソーシャルゲームのガチャ・課金問題が社会問題化しているが、最近は子供向けアーケードゲームにもその波が来ている。つまり、基本プレイは100円なのだが、追加で課金することでゲームを有利に進めたり、レアカードを入手しやすくしたりできる。

基本プレイは100円だが……

 子供向けアーケードゲームで初めてオンデマンド印刷を採用した「モンスター烈伝オレカバトル」(コナミデジタルエンタテインメント)は、バトルするたびに強くなるモンスターカードを集めるカードゲーム。基本プレイは100円だが、100円を追加するたびに1体ずつモンスターをカードとして排出できる。モンスターは最大6体まで選べ、通常プレイで計600円まで使える(IDカード作成を除く)。

オレカバトル オレカバトル(公式サイトより)

 先日発表された「ポケモンガオーレ」も、モンスターの収集/育成要素があり、1プレイで最大600円まで課金できる(参考記事:新キッズ筐体「ポケモンガオーレ」、50型の大画面と業界初のオンデマンド“プレート配出”採用)。

 女児に人気のアイドル育成ゲーム「データカードダス アイカツ!」「プリパラ」も、同じような仕組みだ。いずれもカードを組み合わせて自分の分身となるアイドルの衣装をコーディネートするリズムゲームなのだが、追加で課金することでカードを集めやすくしたり、経験値を増やしてアイドルランクをアップしたりできる。

 4月2日に稼働開始したプリパラの新弾「神アイドルシリーズ」は、稼働初週でゲーム筐体のライブ回数が過去最高を記録。タカラトミーアーツによると「1分間に200回のライブが行われている計算」ということで、非常に好調だ。

衣装1衣装2 5月稼働予定の「アイカツスターズ!」衣装カード(※画像は開発中のもの)

 アイカツ!では、100円ごとに1枚のカードを追加で購入でき、ボーナスの経験値ももらえる。ゲームをプレイしなければ最大9枚まで追加購入が可能。プリパラは、100円で通常プレイをした後、500円までの追加課金ができる。計600円払えばSR(スーパーレア)以上のカードが必ずもらえる。

 ゲームセンターなどに行くと、時間はないがお金を持っている大人たちが500円を追加してレアカードを手にする姿をよく見かける。こちらもボーナス経験値をもらえるという特典がある。

プリパラ 「プリパラ」のプレイ画面。ランダムに出現する「女神ジュリィ」に出会えると、SR(スーパーレア)以上のカードがもらえる

友だちとの交流が課金を後押し

 課金をすると、「ゲームをクリアしやすくなる」「目当てのカードを手に入れやすくなる」などのメリットがあるが、「トップレベルまでランクを上げたい」「カード全種類をコンプリートしたい」という高い目標を持ってしまうと、かなりの額のお金と時間を使わなければならないのは明白だ。

 友だちとアイドルランクやカード収集を競い合ったりすると、お小遣いの範囲でやりくりするのはなかなか難しい。友だちと協力プレイができるようなゲームになると、同じランクになりたい、同じ衣装が欲しいなどの欲も出てきやすい。筐体と連動する玩具やゲームなど、関連グッズもそろえ出すとキリがなく、保護者のサイフ事情も厳しくなってくる。

 「小学生の娘がプリパラにハマっている」と話す40代男性Mさんは、「表向きは子供向けだけれど、追加課金でゲームを有利に進められるなど、段々大人を意識したシステムになってきているのが心配です」と話す。

玩具 プリパラのゲームと連動する玩具「サイリウムジュエルマイク」(4200円、税別)

 最近の子供向けアーケードゲームの仕組みは、「基本プレイ無料」をうたいながらも追加課金で収益を上げるスマホ向けソーシャルゲームに似てきている。子供たちは、自分専用のスマホを持たないうちから、「ソーシャルゲーム慣れ」「課金慣れ」しているともいえる(実際、一部のゲームはスマホアプリも提供している)。

 ほとんどの子供向け筐体は、最大でも1プレイ600円前後だが、その基準が今後どうなるかは分からない。ソーシャルゲームのガチャ規制については大いに議論がされているが、子供向け筐体市場における各社の動きにも注目が集まる。

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